BtoC事業者必見!プロに学ぶ ビジネスインスタ活用術(基本編)

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「BtoC事業者がSNSを活用する際は、やはりまずはInstagramから」そう話すのは、SNSマーケティングのパイオニアであるF.PRODUCERSの斉藤淳(さいとう・じゅん)CEO。変化の激しいSNS業界におけるInstagram最新事情、そのアルゴリズムや活用方法を聞きました。

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斉藤淳(さいとう・じゅん) 代表取締役CEO

 

大学を半年で中退し、ファッションビジネスの専門学校に通いながら120人規模のインカレサークルを運営。SNSマーケティングやインフルエンサーマーケティングという言葉がなかった頃から経験・実績を積み、2017年F.PRODUCERS創業。中小企業から大企業まで多くの企業のSNSマーケティングを手掛け、その継続率は9割以上という高い満足度を誇る。現在では東京と熊本の2拠点で会社を運営し、熊本では各地域の発信力の向上を目的に地方自治体のサポートも行っている。

 

BtoC事業者にとってのSNS活用とは

編集部(以下、――) 斉藤さんはSNSマーケティングに10年以上携わっています。ビジネスでSNS活用と聞くと「BtoC事業者向け」というイメージがあるのですが、これは間違っていませんか?

 

斉藤さん(以下、敬称略) はい、ビジネスでSNSを活用する場合はBtoC事業者の方が多いのは事実です。特にInstagramはBtoC事業者がメインと言っても過言ではないかもしれません。

 

―― まさにイメージ通り!という読者が多いように思いますが、その理由を改めて教えていただけますか。

 

斉藤 そもそもSNSとは何かというと「個人×個人のコミュニケーションツール」です。なので、消費者とのコミュニケーション量が勝敗を分ける現代社会では、SNSのビジネス活用が欠かせなくなってきています。特にBtoC事業者にとっては、それがますます重要度を増していて、その中で最も大きな影響力を持つのがInstagramです。プロフィール画面も充実しており、SNS上の自社HP、LP、オウンドメディアのような役割を果たしてくれるのがInstagramと言えるかもしれません。

 

 

―― Instagramのユーザーの属性も教えてください。

 

斉藤 国内におけるユーザー属性は女性57%、男性43%、今では幅広い年代で使われていますが、一番コアなアクティブユーザーは30代女性ですので、特に女性をターゲットにしたビジネスをしている企業はInstagramに本気で取り組むべきだと思います。

 

―― なるほど!それでは今回はBtoC事業者向けのビジネスInstagram活用術を詳しく教えてください!

 

斉藤 はい、よろしくお願いします。

 

嫌われる企業公式アカウント 企業が目指すべきアカウント運用とは

―― 変化が著しいSNS業界の中で、企業はどのようにInstagramを活用するべきでしょうか。

 

斉藤 Instagramは特に変化のスピードが速いです。少し前だったら企業が公式アカウントを作って情報発信していれば、認知拡大やファン獲得が出来ていましたが、今は全く違います。むしろユーザーは企業公式アカウントを嫌がる傾向にあるんです。

 

―― え⁈どうして企業公式アカウントが嫌がられているのですか?

 

斉藤 企業公式アカウントが増えすぎて「広告ばかりで企業公式は邪魔」という空気がどんどん顕著になっています。先ほどもお伝えしましたが、SNSは個人と個人のコミュニケーションツールですからね。

 

―― では、企業はどんなアカウントを目指すべきですか?

 

斉藤 Instagramを運営するMeta社の立場に立って考えるとそれが見えてくると思います。プラットフォーマー側は、ユーザーにできるだけ多く、そして長く自分たちのSNSを使って欲しいわけです。ですからInstagram側は、より多くのユーザーが集まり、長時間滞在してくれるアカウントを積極的に応援します。なので、シンプルに言えば、より多くのユーザーを「楽しませるアカウント」を目指すべきということになります。そうすることによってコミュニケーションが生まれ、インプレッションが高くなり、フォロワーも増えます。

 

―― ユーザーを「楽しませるアカウント」にしていくために重要なことは何でしょう?

 

斉藤 まず、自分たちがアピールしたいことを一方的に発信するのではなく、ユーザー側の視点・感覚をメインに置くことだと思います。いったん自分たちのことは置いといて、自分たちのターゲットは何を見ているのか。どんなアカウントをフォローしているのか。どんなことに興味関心があるのか。どういう情報を検索しているのか。こういうことを逆算して、自分たちのアカウントとの親和性を考えないと、コミュニケーションが生まれなくなってしまいますし、フォロワーも増えないんです。

 

―― 一方通行の情報発信では全く意味がない、ここは多くのBtoC事業者が気を付けるべき落とし穴かもしれませんね。

「映え」だけでは情報は届かない!Instagram成功と失敗の分かれ道

―― コミュニケーションが必要不可欠なことはわかりました。でも、Instagramといえば「映え(ばえ)」が大切というイメージが未だに強い気がしています。

 

斉藤 Instagramはビジュアルコミュニケーションを基本としているので、クリエイティブが重要なことは間違いありません。でも、クリエイティブに力を入れて綺麗な写真を投稿しているのに、全く効果が出ないとInstagramの運用を途中で止めてしまう企業が増えているんです。実はここ数年、Instagramで失敗する企業に共通しているのが、「映え」だけに力を入れていることなんです。

 

―― それはつまり、自社の製品/サービスを“映える”ビジュアルでどんなに情報を発信しても、それだけでは誰にも情報は届いていない、ということですね。

 

斉藤 はい、「この商品可愛いでしょ?」といった「インスタ映え」だけでは今のInstagramは攻略できません。

 

―― では、企業が顧客や見込み客とコミュニケーションを取るために必要なことはなんでしょうか。

アルゴリズムを理解し機能を使いこなす

斉藤 Instagramに限らず、SNSで成果をあげるには、そのSNSのアルゴリズムを理解することが非常に重要です。Instagramの一番の特徴はユーザーからのおすすめではなく、Instagram(Meta)からのおすすめ情報だという点です。

 

―― もう少し詳しく説明してもらえますか?

 

斉藤 InstagramはFacebookも運営するMeta社が提供するSNSなので、ユーザーの職業、実名、住所、趣味嗜好などを把握していて、その膨大なデータに基づいて情報をレコメンド(おすすめ)しています。個人ベースにカスタマイズされていて、特定のユーザーの興味のあるものしか発見タブに出てこないんです。

 

―― 言われて見れば確かにそうですね。

 

斉藤 Instagramのフィードやストーリーズ、リールなどに表示される情報は時系列ではなく“仲が良い人”の情報が出てくるようになっています。

 

 

―― “仲が良い人”とは具体的にどんなアカウントを指すのでしょうか。

 

斉藤 Instagramのアルゴリズムは、簡単にいうと「関心の高さ」、「親密度」、「情報の鮮度(新しさ)」で判断しています。今はもうフォローしてもらうだけでは情報が届かないんです。

 

―― フォローはもちろん、コメントしてもらったり、ハートを押してもらったり、保存してもらうなどして仲良くならないと意味がないと・・・。

 

斉藤 その通りです。

 

―― えっと・・・ちょっと待ってください。企業側にとって、これはハードルが高くないですか?個人と個人ではそういったコミュニケーションは珍しくありませんが、企業の投稿にわざわざコメントしたりハートを押したりしませんよね。

 

斉藤 はい、そのために企業アカウントは、Instagramに備わっている機能を活用することをお勧めします。

企業公式アカウント、目指すべきKPIは?

  • KPIはインプレッションを上げること
  • フォロワーを増やすにはインプレッションを上げることが最重要
  • インプレッションをあげるにはInstagramのアルゴリズムを理解する

企業アカウントがすべきはアクションを促すコミュニケーション

斉藤 例えばストーリーズにはクイズやアンケート機能が設置されています。こういった機能を活用すれば、ユーザーのアクションを促すことができます。ただ「見て終わり」のコンテンツと、「自分もリアクションしたくなる」ようなコンテンツと、どちらが楽しんでもらえるか、そしてコミュニケーションが生まれるか、ということですね。

 

―― アンケートの回答を整理すれば、それもコンテンツになりそうですし、一石二鳥ですね。

 

斉藤 はい。それから先ほどもお伝えしましたが、ユーザーがそのアカウントに長く滞在すればするほどInstagramのアルゴリズムはそのアカウントを評価しますから、画像も複数枚投稿するのもコツのひとつです。

 

―― あ〜、なるほど。

 

斉藤 ただ多ければいいと言うわけではもちろんありません。複数枚投稿の前提で企画を作ることが必要です。

 

―― 一概には言えないかもしれませんが、Instagramのユーザーが求めているのはどんな情報なんでしょうか。

 

斉藤 良いポイントです!少し前のInstagramでは「かわいい」とか「綺麗」といったビジュアルに訴える情報が求められていましたが、今は「知って得する情報」、「ハウツー」や「専門家の知識」を発信しているアカウントが伸びています。知識と意見を持っているクリエイターといったら分かりやすいでしょうか。

 

―― その「クリエイター」とは、企業アカウントではありませんよね?

 

斉藤 そこがポイントです。ユーザーが知りたいのは、特定の企業の商品/サービスの紹介ではなく、その業界のことを熟知している中立公平な立場で、特定の商品を持たない専門家の意見、ということなんです。

 

―― それじゃ、企業公式アカウントはどうすればいいのでしょう。

 

斉藤 もちろん、商品の使い方や悩みに応じた利用シーンなどは、企業アカウント公式にしかできないことです。見せ方を工夫することで、効果もあると思います。でも、より効果的なInstagram運用をお考えでしたらインスタグラマーの活用は必須だと思います。

 

―― インスタグラマー活用編については次号で詳しくお聞きしたいと思います。引き続きよろしくお願いいたします!

 

 

取材社 情報

株式会社F.PRODUCERS

https://f-producers.com/