SNS広告の正しい考え方  結果を出す!プロが伝える3ステップ

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中小企業の売上アップの強いミカタ「SNS広告」。成果を出すための必勝パターンはあるのか?「クリエイティブテストを日本一おこなう代理店」と自負するSOLUが導き出したSNS広告における成功の方程式とは?中小企業のマーケティング担当者必見!

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松原克哉(まつばら・かつや )

SOLU株式会社 マネージャー

 

新卒でベンチャー企業の広告代理店に入社。

2016年度上半期Yahoo Japanエージェンシーカンファレンスにて2015年度下半期MVP賞を受賞。

現在、SOLUに参画。日本一若いwebマーケティング会社を創ることにコミットし、日々奮闘中。趣味はサウナ。

SNS広告かリスティング広告か

編集部(以下、――) 前回は、多くの中小企業がチャンスを逃しているWEB広告の勘違いをテーマに話を聞きました。今回は集客を目的にしたSNS広告をメインテーマに、具体的な話をお聞きしたいと思います。

 

松原さん(以下、敬称略) よろしくお願いします!

 

―― 本題に入る前に「なぜ中小企業にとってSNS広告が効果的なのか」という点について触れてもらえると・・・。というのも、WEB広告=リスティング広告と思っている人が少なくないと思うんです。

 

松原 確かにその通りですね。リスティング広告とSNS広告の一番大きな違いは、リスティング広告は顕在的なニーズに対してアプローチするのに対して、SNS広告は潜在的な顧客にアプローチするということなんです。

 

―― 顕在的なニーズとはどういうことでしょうか。

 

松原 例えば「水回りのトラブル」を解決する事業者はリスティング広告が効果的です。急な水回りのトラブルは「今すぐ解決したい」と思う方がほとんどだと思います。そこで見込み客は「水漏れ 修理 〇〇(地域)」とかで検索して、表示結果の上位にくる事業者を選びますよね。つまり検索時に上位表示されるリスティング広告が非常に有効となるワケです。この場合「水回りのトラブルをすぐに解決したい」というのが顕在的なニーズになります。

 

―― なるほど。中小企業の場合はニーズが顕在化しているケースはあまり多くなさそうですね。

 

松原 もちろんリスティング広告を使って顕在層から潜在層にアプローチすることもあるにはあります。ただ、リスティング広告の場合は、限られた枠を取り合って競合他社と争うことになるので、入札価格が跳ね上がることも少なくないですし、どうしても予算ありきの話になっちゃうんです。そうなると中小企業はどうやったって大手には敵わないんです。

STEP1 SNS広告、最初に選ぶべきメディア

―― 今回は多くの中小企業が課題を感じている「集客」を目的としたSNS広告がメインテーマ。まずは集客目的における媒体の選び方について教えていただけますか?

 

松原 「集客」という点で一番力がある媒体はFacebookとInstagramです。

 

―― なぜその2つなのでしょうか。

 

松原 Facebookは実名登録で、様々な属性で細かなターゲティングができるので「実際、どこが刺さるターゲットなのか?」を検証する上では非常に有効なSNSとなります。そして、FacebookとInstagramは両方ともMeta社が運営しているため、高いターゲティング精度で、2つのSNSに同時にアプローチできるのが大きな魅力です。この2つのSNSで広い年代に精度を高めながらアプローチ数を確保できますので、まずはここでPDCAを回して、自分たちの勝ち筋を見つけることが土台になってくるケースが非常に多いように思います。

 

―― FacebookとInstagram以外の媒体についてもアドバイスいただけますか?

 

松原 FacebookとInstagramで得た効果をさらに増やすためにLINE広告を活用するのはオススメです。ユーザー数においてはLINEがナンバーワンですから、それまでにリーチできていない潜在層にアプローチすることが可能です。

 

―― LINEと聞くとBtoCというイメージが強いのですが、BtoBの事業者にとってもLINE広告は効果があるのでしょうか。

 

松原 もちろんです。BtoBの事業者さんでも具体的な課題やニーズを抱えているのは「人」なので、Facebook+Instagramで見つけた勝ち筋を生かせば、ユーザー数が多いLINEは大きな活用価値があります。

 

―― なるほど!Twitter広告はいかがですか?

 

松原 拡散力が武器の媒体なので、キャンペーンやアプリダウンロードなどの広告を出す場合はTwitterがベストだと思います。俗にいうライトコンバージョンという種類のもの、つまり「これはお得だな」と感じるような、見込み客から見た時に手を伸ばしやすい手軽なアクションに繋げたい場合は、Twitterは非常に有効ですね。

STEP2 「正しい」目標設定をする

―― 広告を出す媒体が決まったら、次にすることはなんでしょうか。

 

松原 最終的にちゃんと利益に繋がるKPI(パフォーマンスを計測するための指標)で目標を設定すること。ここが一番重要です!広告は売上・利益を上げることが目的ですから、たとえ広告に反応があったとしても、それが実際の売上に繋がらない状態になっていては全く意味がありません。広告代理店に依頼する場合は、ここが代理店を見極めるポイントでもあると思います。

 

広告代理店の多くや広告担当者は、CPA(1問合わせあたりの必要単価)ばかりを追いかけがちですが、最終的に受注に至るまでの単価で考えるとどうなのか、それがどれくらいにならないと利益が出ないのか、これを最初に確認することが極めて重要です。初めて広告に取り組む場合は分からないこともあると思いますが、仮説・想定でも良いのでKPIを設定してください。実際に売上が上がるまでの流れを想定した時に、いくらでアポが取れて、そのうちどれくらいの割合でクロージングできれば利益があがるのかという計算をした上でCPAの話をしないと広告を出す意味がありません。

 

―― なるほど。「代理店を見極めるポイント」というのは、CPAだけでなく、実際の売上に繋がるまでのKPIを設定して広告運用をしているかどうかということですね。

 

松原 はい。KPIを代理店と共有していれば、CPAばかりにフォーカスせず、どこがうまくいって、どこがネックになっているのかを都度確認しコミュニケーションをとるはずです。「広告はうまくいったのに受注に繋がらなかった」とか言っている人がいますが、それは絶対に違います。

 

―― 広告から問合せがきているけどKPIが達成されないというのは具体的にはどのようなケースがありますか?

 

松原 例えば、問合せが増えているのに通電率が悪いとか、問合せをした人がターゲットからずれていたとか。その場合コピーが悪いのか、はたまたLPがいけないのか、クロージングの仕方が悪いのか、とか色々な可能性がありますよね。そこで解決すべき課題が明確になるまで広告を止めることもよくあります

 

―― なるほど。自社で広告を運用する場合も、広告を運用するマーケティング部とセールス部がしっかりコミュニケーションを取って、今何をしているのか、どんな状態なのかを逐一情報共有することが必要なんですね。

 

松原 はい。広告はやってみないとわからないことだらけですから(笑)

 

広告経由で受注するための極意

・資料請求や問合せがあった場合、出来る限り早く対応すること。理想は1時間以内!

・LPは作り込みすぎずテコ入れする前提で

STEP3 SNS広告 力をいれるべきは、とにかく「見た目」

―― 目標が設定できたらいよいよクリエイティブの制作ですね!

 

松原 ここで多くの企業がやってしまうNG行為が、ハイクオリティなビジュアルを時間・労力を掛けて作ってしまうことです。

 

―― えっ!ハイクオリティなクリエイティブのどこがいけないんでしょうか。

 

松原 ブランディングが目的の場合はそれでもいいと思います。でも今回、広告の目的は集客ですよね。言い換えると「ターゲットにクリックしてもらうこと」が目的です。ですから何より重要なことは「目に留まるデザイン、クリックしたくなるビジュアル」かどうか、です。ハイクオリティとは微妙に異なります。

 

―― SNSという媒体の特性上、視覚的に訴えることが必要なんですね。

 

松原 はい。とはいえ、コピーもデザインの一部です。訴求ポイントを言語化する必要があります。その時に重要なのが「相手目線にたったベネフィット」であることです。つまり「ターゲットから見てどうか」ということに尽きます。

 

―― 自分たちが言いたいことではなく、相手が求めていることや知りたいことで訴求しなくてはダメなんですね。

 

松原 その通りです。「読ませるコピー」ではなく、簡潔にコンパクトに「デザインする」ことを意識してください。次に、同じ訴求ポイント(コピー)に対し、異なったデザインを最低4パターン以上テストしてください。写真バージョン、イラストバージョン、テキストだけバージョンなど。

 

―― 最低4パターンですか?大変ですね・・・。

 

松原 はい、大変です。私たちは気づいたら100パターン以上テストしているという事がざらです(笑)

 

―― 100ですか!その数を自社で運営するは難しいですね。4パターンでも効果はあるのでしょうか。

 

松原 もちろんです。広告は「テストをして初めて分かること」が全てですから。

SNS広告の勝ちパターンは?

―― ズバリ、SNS広告の勝ちパターンってあるんでしょうか。

 

松原 残念ながらありません。でも、テストによって見つけることはできるんです。

 

―― SNS広告に限らずWEB広告で結果を出し続けている企業に何か共通点はありますか?

 

松原 テストをし続け、広告をブラッシュアップし続けている企業です。うまくいってもいかなくても理由を検証し、仮説をたてて、テストし続ける企業が一番強い。

 

―― うまくいっているときの理由も検証するんですか?

 

松原 はい。理由の解明が大事なんです。それを次に活かすことでドンドン成果が上げやすくなります。なのでテストを繰り返すことでしか磨かれないんです。

 

―― ここで具体的なテストの方法に戻りますが、さきほどの訴求が同じでデザインが違う4パターンの広告を動かして、クリック率の高いデザインがどれかをテストするという理解であっていますか?

 

松原 はい。よくAIの機械学習で「1週間は動かさない」と言われていると思いますが、これは非常にもったいないと思います。結果が悪い中で1週間動かさないとなると、予算感によってそのままCV(コンバージョン)がつかないまま垂れ流しになってしまう事も多くあります。クリック単価が高いクリエイティブ、インプレッションが低いクリエイティブはすぐに止めて、クリック率が高いクリエイティブを残す。さらに、その勝ちパターンのクリエイティブをベースにして、訴求ポイント別に複数パターンを用意し検証する。この繰り返しです。

SNS広告 動画活用の3つのポイント

―― SNS広告における動画活用についても聞かせてください。

 

松原 数年前までは、広告に動画を使うだけでCPAが非常に良かったんです。でも、今は動画であればなんでも良いという時代ではなくなりました。伝えられる情報量が圧倒的に多いという動画の優位性には変わりがありませんが、当然ながら その質が問われるようになってきたという事ですね。目立つだけでなく、顧客が求めていることにどうアジャストするかが ますます重要になってきています。そういった意味で、近年非常に効果が高くなってきているのがUGCといわれる動画コンテンツです。

 

―― UGCコンテンツについて詳しく説明してもらえますか?

 

松原 簡単に言うと、ユーザー目線でユーザーの手によって制作・生成されたコンテンツのことです。サービスや製品を体験したユーザーが感想を話している動画を見たことありませんか?

 

―― あります!そしてよく購入まで誘導されます(笑)。

 

松原 まさにそれですね。動画広告には3つ重要なポイントがあります。ひとつは静止画同様「相手目線にたったベネフィット」を訴求すること。ふたつ目はユーザーが自分を投影できるような共感を呼ぶコンテンツであること。3つ目がリアルな人を使うこと

 

―― BtoCだけでなく、BtoB企業にも効果があるのでしょうか。

 

松原 BtoB企業こそ効果があると思います。クライアントが動画広告に出ている=信頼性が高いと思われるでしょうし、安心感にも繋がると思います。業種業態を問わず、こういった動画を活用したSNS広告は経験値上、反応がすごく良いです。静止画だと1枚にデザインとコピーをギュッと詰め込まなくてはいけませんが、動画の場合は多い情報量を分かりやすいストーリーとして伝えられることが強みだと思います。

 

―― 広告で動画を活用する上で、何か注意するべきことはありますか?

 

松原 TV CMみたいに起承転結がある動画はSNS広告ではNGです。SNS広告の場合は、まず結論から伝えてください。そうしないと、相手は最後まで見てくれませんから。長くても15秒くらいにおさめることもポイントです。

 

―― 最後に中小企業の皆さまにアドバイスをお願いします。

 

松原 WEB広告と聞くと「過去にうまくいかなかった」「純広告のイメージで莫大な予算がかかると思っている」など、マイナスのイメージを持っている方も多いと思います。でも、WEB広告にチャレンジしている企業は事業を拡大させ成長しています。自社で広告を運用することももちろんできます。でも、自社のサービスや製品に自信をお持ちなのであれば、信じられる広告代理店とタッグを組んで事業を発展させるという選択肢があることを知っていただきたいと思います。

 

自社で2年かけるのか。費用はかかるけど3ヶ月でやるのか。何よりプロと組むことで、何を誰に訴求すれば伝わるのか、売上に繋がるのかという勝ちパターンが見つかると思います。短期間で結果を出すために、WEB広告は中小企業の味方であることを知っていただければ嬉しいです。ありがとうございました!

 

 

取材社 情報

SOLU株式会社

https://solu.co.jp/