生放送4,000回の元NHKキャスターが教える 動画初心者のための「話す力」で夢を叶える方法
〜連載Vol.1 動画を途中で消させない!「メインメッセージ」の作り方〜
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「動画を始めたいけど、何から手をつけたらいいのだろう」。そんな悩みに応えるべく、非対面コミュニケーションの専門家で、元NHKキャスターの重信香織さんによる連載がスタートします。10年間のキャスターの経験、生放送4,000回の経験から生まれた重信さん独自の動画スピーチの極意やノウハウを余すことなく教えていただきます。
伝えたいことがあるのに、どうしていいか分からない人へ
みなさん、こんにちは。動画スピーチコンサルタントの重信香織です。
この連載は、「伝えたいことがあるけど、うまく言語化できない」、「話すのが苦手」、といった悩みを持つ動画初心者の方へ向けた、動画活用の最初の一歩を踏み出すためのものです。
今は個人がメディアを持てる時代です。あなたの仕事におけるミッションや情熱を、HPやYouTube、SNSなど、あらゆるメディアを通じて届けることができますよね。そのような時代の中で、「動画」という手段を活用しない手はありません。「自分の想いが伝わった先の世界」は、言葉では言い表せないほどの幸福感や充実感に満たされます。
ただ、動画で「相手に伝わるように話す」ことは決して簡単ではありません。でも、安心してください。この連載では、「メッセージの作り方」、「映る前のマインドセットやセルフイメージの作り方」、「シナリオ構成の作り方」、さらには「練習法」までをお伝えします。この連載をきっかけに、あなたが一本の動画を完成できるように、できるだけわかりやすくお伝えしますので、ぜひ実践してください。
私は元々アナウンサー志望ではありませんでした。人見知りで、話すことが苦手だった私が、大学卒業2ヶ月前にアナウンサー試験に合格し、4月から生放送をすることになったんです。そんな私ですからキャスター時代、たくさんのお叱りを受け、数えきれないほどの失敗を重ねましたが、気がつけばキャスターとして10年の経験と、生放送4,000回という得難い経験を積むことができました。この経験や技術を、「伝えたい想いはあるけど、その方法がわからない」という方に届けられ、少しでも背中を押せたらと思っています。
パブリックスピーチの心得
連載の第一回目は、動画でメッセージを発信する上で基本となる心得とメインメッセージの作り方についてご紹介します。
動画の収録のために「話す」こと、メッセージを発信するということは、日常での「話すこと」とは全く違うものだということを理解してください。不特定多数に自分の想いが「伝わる」ためには、普段の自分ではなく、「パブリックな自分」でなくてはいけません。普段のおしゃべりは「言いたいことを、言いたい順に、言いたいように」で良くても、動画で発信する際には注意が必要です。
パブリックな自分でありながら、相手にメッセージを送ることを、日常的な「話す」と区別して「パブリックスピーチ」と呼んでいます。自分が話し手の場合、「相手が自分の話を聞いてくれるだろう」という期待のもとに話してしまう人がほとんどです。しかし、パブリックスピーチの場合、聞き手はあなたのことを知らない場合が多いはず。ですから残念ながら、多くの人はあなたの話には興味がありません。相手が興味を持ってくれるのは、自分に関係のあること、自分にメリットのある話だけです。この事実をまず理解しましょう。
人は、「分かってほしい」一心で、「多くの理由」を説明しがちです。しかし、視聴者は、理由や説明には興味がありません。不必要な情報は、視聴しない理由を作ってしまいます。簡潔でまとまった結論を最初からしっかり提示することが動画におけるパブリックスピーチの基本となります。
あなたの奥底に眠る 本当に届けたい「何か」を見つける
とは言っても、「簡潔でまとまった結論」を言語化するのが、動画の難易度を高くしている理由のひとつです。でも、動画にはこの「簡潔でまとまった結論」=「メインメッセージ」が非常に重要です。私の仕事も、クライアントさんとこの「メインメッセージ」を見つける作業に、非常に多くの時間を費やします。なぜならこれは、あなたが伝えたいことの根幹だからです。あなたの話の奥底には 受け取って欲しい「何か」があるはず。それをしっかり言語化することが、何よりも大切なことだとここで強調しておきます。
では、私がどのようにしてクライアントのメインメッセージを見つけるのか、具体的にご紹介します。私が繰り返し「メインメッセージを見つける」という表現を使っていることにお気づきでしょうか。そう。メインメッセージは、すでにあなたの中にあるものなんです。決してゼロから組み立てたり、作り出したりするものではありません。すでにあるものに気づき、それを言語化する作業です。
下図の通り、メインメッセージは「自分が伝えたいこと」と「相手が聴きたいこと」の交わった部分に隠されているんです。
メインメッセージを見つける3ステップ
メインメッセージを見つけるために、まずは右側の「相手が聴きたい事」について掘り下げていきましょう。
この時できるだけ「相手」をリアルに思い浮かべてください。架空の人物でなく、あなたが悩みを解決したい/応援したい/役に立ちたい「具体的な誰か」がベストです。中には、この「相手」が「過去の自分」という方もいらっしゃいます。
「相手」が具体的にイメージできればできるほど、相手が望む話やささる言葉が浮かんできます。とにかく思い浮かんだ言葉やエピソードを書き出してください。
ここで、私自身の例をご紹介しますね。
私の場合「相手が聴きたいこと」は
・伝えたい想いはあるけど、それをどのように原稿にしたら良いか知りたい
・動画で話すこと(公開すること)に自信がないので、不安をなくしたい
・カメラの前で話せるようになるには、どうしたら良いか。手順や練習方法を知りたい
この3つに絞られる前は、相手の悩みを細かく箇条書きにしたり、キーワードをたくさん書き出したりしていました。そのキーワードを整理したのが上記の3つとご理解ください。
次に、図でいう左側の「自分が伝えたい事」について掘り下げていきます。
ここも、私自身の例をご紹介します。
私の場合「自分が伝えたいこと」は
・動画を使うと、世界が広がるよ
・動画は、多くの人に受け取ってもらえる/知ってもらえる、365日24時間稼働してくれるあなたの分身
・想いがあるなら、ぜひ伝えましょう!話し方が上手かどうかは問題ではありません!
・ためらっている人は、それぞれ理由があるはず。それを一緒に解決して、一歩踏み出そう
ここは自分の中にまだ言語化できていない気持ちや想いをはき出す作業です。とは言っても、なかなか言語化するのは難しいと思うので、一つ一つ質問にしていきますので、答えてみてください。あなたの動画の目的とゴールが整理されるはずです。
質問1:聞き手に提供できるものは?
私の回答例:ディレクター&生放送キャスター経験を活かし、それぞれの課題を個別カスタマイズで解消する動画のトータルプロデュース
質問2:聞き手のどんな悩みをどのように解決する?
私の回答例:動画に対するハードルを高くしている理由をヒアリングから見つける。そして、伝えたい本当の想い〜メインメッセージ〜を一緒に見つける
質問3:それは何のために?
私の回答例:あなたの想いや情熱を多くの人に届けてほしいから。それがその先にある多くの人を救うことにつながるから
質問4:聞き手にどうなってほしい?
私の回答例:「動画」に対するネガティブなイメージを取り除き、あなたらしく動画やオンラインで伝える人になって欲しい。そして世界を広げて欲しい。
ここまできたら、「自分が一番伝えたいこと」と「相手が聴きたいこと」が交わる「メインメッセージ」を言語化しましょう。ここも、長々と文章にするのではなく、「私がこの動画で伝えたいことはズバリ『〇〇』です」といったキーワードやフレーズのような短いものにしましょう。そして、「自分が一番伝えたいこと」と「相手が聴きたいこと」を掘り下げて出てきたキーワードから、メインメッセージをサポートする材料を集めましょう。
聞き手が疑似体験のできる例え話やメタファー(隠喩)、詩や誰かの格言、聞き手の共感を得やすい「あるあるエピソード」がおすすめです。ただし、メインメッセージとこの材料が一貫していることが重要です。
最後に、私のメインメッセージとメインメッセージをサポートする材料もご紹介しますね。
メインメッセージ:話し下手なあなたでも大丈夫!~この動画を見て、最初の一歩を踏み出そう~
メインメッセージをサポートする材料:
・ターゲットのお悩みトップ3。
・お悩みの事例→具体的な事例と、お悩みの理由
・それに対する解決策の提示
お疲れ様でした。これでメインメッセージの完成です。メインメッセージが決まると、話しの軸がぶれなくなるので、今後も話しの組み立てが楽になります。
次回は、『最初の3秒を味方につける!パブリックセルフイメージの作り方』についてお伝えします。お楽しみに!
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