BtoC事業者がフォロワーを増やして見込み客を獲得する方法 プロ直伝!ビジネスインスタ活用(実践編)
INDEX
- 企業のインスタ運用!その目的とゴールとメカニズム
- Instagram運用 最初の一歩
- ステップ1:フォロワーとの親密度アップに欠かせないストーリーズの活用
- ステップ2 フォロワー以外に情報を拡散する
- ステップ3 動画を活用するメリット
BtoC事業者に欠かせないInstagram運用。基本編、インスタグラマー活用編ときて、今回は実践編! インスタ運用の目的は見込み客の獲得のはず。そのために必要なことは?今回もインスタのプロ、F.PRODUCERSの斉藤淳(さいとう・じゅん)CEOに聞きました。
企業のインスタ運用!その目的とゴールとメカニズム
編集部(以下、――) これまでInstagramの基本編とインスタグラマー活用編の2回にわたって、BtoC事業者向けに活用方法を紹介してきました。今回も、SNSマーケティングに10年以上携わっているインスタ運用のプロ・F.PRODUCERS代表の斉藤さんにお話を聞きます。
最終回となる今回は「実践編」と題して、実際にBtoC事業者がInstagramを運用する際に、どのような手順でどのような点に注意するべきか、NG行為などもあわせて教えてください。
斉藤さん(以下、敬称略) はい、よろしくお願いします。まず、BtoB事業者がInstagramのアカウントで情報発信する目的は「見込み客の獲得」であり、ゴールは「売上増」がほとんどだと思います。
―― はい。その通りです。
斉藤 Instagramの場合、フォロワーに情報を届けることと、フォロワー以外のターゲット層に情報を届けること、新規フォロワーを増やすことの3つが、密接に関わっています。まずはこの関係性を理解するために、下の図をご覧ください。
―― この図はものすごく大事ですね!つまり、フォロワーにとって価値のある投稿をし、フォロワーにアクション(「いいね」、コメント、保存、ダイレクトメッセージ)を起こしてもらわないとフォロワー以外に情報が拡散されず、新規フォロワーも増えないということですね。
斉藤 はい。では、どのような機能を活用してフォロワーのアクションを促せばいいのか。どんな投稿をすれば成果に繋がるのかを具体的に紹介できればと思います。
―― あ、本題に入る前にひとつお願いがあります!まさにこれからInstagramのアカウントを開設するという事業者もいると思うんです。そういう超ビギナー向けに「最初のステップ」を教えていただけると助かります。
斉藤 なるほど!了解しました。
Instagram運用 最初の一歩
斉藤 まず大切なのはアカウント設計です。ターゲットは誰なのか。ターゲットに対してどんな有益な情報を届けるのか、競合との差別化を明確にしてください。発信内容や そのクリエティブ=「あなたの会社」として認識されます。打ち出し方にもよりますが社長が気まぐれで投稿する、事業のサービスや製品以外の意味のない写真を何となく投稿する、などは企業公式アカウントとしてはNGです!
―― アカウント設計をすることで、Instagram運営の目的や目標が明確になりますね。
斉藤 次にプロフィールの作成です。これからInstagramを始める方のために、できるだけシンプルな例をお見せしながら説明した方がいいかもしれませんね。そこで今回は、弊社の不動産事業のアカウントを例に見てみましょう。
斉藤 見込み客(まだフォロー前のユーザー)はプロフィールを訪れて「このアカウントが自分に必要かどうか」を判断します。プロフィールの文字制限が150文字と決して多くありません。以下の5つのポイントを押さえてもらえたら良いと思います。
- 何のアカウントか一目でわかるように: LIVEPROの場合は、ジャンルを不動産仲介とし、プロフィール文に【住まいのプロ】としています。
- ターゲットを明確にする: LIVEPRO の場合「東京を中心に、千葉、埼玉、神奈川」で賃貸を探している人とわかります。
- フォローするとどんなメリットがあるかを明示する: LIVEPRO の場合、お部屋を探している人に向けて、最新情報を随時更新。個別のお問合せや相談も可能であることを明示。
- リンクを添付する:HPやECサイト、LINEなど送客したい場所のURLを設定するのを忘れずに! LIVEPRO のように「相談は下記LINEから」などプロフィール文内に何のURLなのか分かるようにしてあげるのも大切です。
- 2ヶ月に一度はプロフィール内容を見直して更新する
もちろん、アイコン画像などもわかりやすく、目につきやすいものにしてください。
―― 改行や絵文字でとても読みやすいですね。ちなみに#(ハッシュタグ)を記載していない理由は何かありますか?
斉藤 「#商品名」や「#製品ジャンル」(例えば「#アイライン」)など、フォロワーの興味をひくワードがあれば掲載してください。とはいえ150文字と限られたスペースなので、あまり気にしすぎなくても良いと思います。ハッシュタグ検索からの流入は10%くらいしかないなので。
―― なるほど。プロフィールを設定したら次は何をしたら良いですか?
斉藤 先ほどのアカウント設計に則ってフィード投稿を最低9、可能であれば15投稿してください。理由は、最低9つの投稿があれば、見た目の体裁がいったん整うこと。そして何よりも訪れてくれた人にこのアカウントがどんなアカウントかを知ってもらうためには、最低でもそれくらいの投稿数が必要だからです。
―― 確かに最初に訪れた先で、投稿数が2~3個しかなかったら、そこで離脱しちゃうかも知れません。
斉藤 これらの準備ができた上で、今後の戦略にもよりますが、いち早くフォロワーを獲得できるのは広告出稿です。ともにMeta社が運営するInstagramとFacebookは、非常にきめ細かくターゲット設定をすることができますし、少ない予算でも成果が出やすいので、これを活用しない手はないと思います。地道にコツコツ投稿してフォロワーを増やしていく方法ももちろんありますが、かなりの時間を要します。忙しい中小企業にとっては、時間は何よりの資産ですからね。あとは、前回お伝えしたインスタグラマーとタイアップしてアカウントを紹介してもらうのも効果的です。
ステップ1:フォロワーとの親密度アップに欠かせないストーリーズの活用
―― ここからは本題の「新規フォロワーを増やすために、どう情報をターゲットに届けるか」に入っていきます。先ほどの図に戻りますが、この①にある「親密度」「ホーム率」とは何ですか?
斉藤 ここは「基本編」の「Instagramのアルゴリズムを理解する」の内容ですね。覚えていますか?(笑)フォロワーに表示される情報は時系列ではなく“仲が良い人”の情報で、その指針の一つが「親密度」でした。
参照:https://soucle.com/yomudo/article/?p=1466
―― そうでした、そうでした!「いいね」や「保存」、コメントをどれくらいフォロワーからもらっているかが「親密度」の指針でした。この「親密度」が高くないと、フォロワーにさえ発信した情報が届かないということですね。
斉藤 そう、それがまさに「ホーム率」で、自身の投稿がどれだけフォロワーの「フィード画面(ホーム画面)」で閲覧されたかを示す割合です。Instagram側はアルゴリズムを公開していないので、あくまで弊社の経験値ですがホーム率30%が一つの目安かなと思います。
―― とはいえ企業公式のアカウントで個人のアクションを獲得するのはハードルが高いので、ストーリーズを活用してエンゲージメントをあげる、と基本編で習いましたね。
斉藤 そう、ストーリーズは24時間で投稿が消えるのが最大の特徴です。クイズやアンケート機能を活用することで、企業公式アカウントでもフォロワーのアクションを促しやすい。さらに、24時間で消えることでクリエイティブの質をあまり求められず、気軽に投稿できるというメリットもあります。また、少し前までは1万フォロワーを持つアカウント限定で、ストーリーズの投稿にリンクを貼れましたが、今はフォロワー数関係なくリンクを貼れるようになったので、送客もしやすくなっています。
―― それは企業アカウントには嬉しい機能ですね。
斉藤 はい。さらに「ハイライト」を使って24時間経過した後も投稿を保存することが可能です。プロフィール画面に商品やサービスを紹介できるので、まるでHPのような見せ方が可能です。下の図でプロフィールの下に丸で囲まれた画像が「ストーリーズハイライト」です。細かい手順は検索してみてください。丁寧に解説してくれるページがいくつも出てくると思います。
ステップ2 フォロワー以外に情報を拡散する
―― ストーリーズで親密度を高め、フィードとリール投稿のホーム率をあげれば発見タブに表示され、フォロワー以外のユーザーにも情報は届くようになるのでしょうか。
斉藤 もちろんストーリーズだけでなく、フィード投稿やリール投稿での親密度も重要ですので、“保存して後で見返したくなるコンテンツ”がベストです。もちろん「いいね」やコメントだけでもエンゲージメントはあがります。また、投稿後すぐにエンゲージメントを獲得しているかを指す「初速エンゲージメント率」も発見タブ表示には必要だと言われています。
―― その「初速エンゲージメント」をあげる方法はあるのでしょうか。
斉藤 これはフォロワーとの親密度を作った上でクリエイティブの最適化しか方法はありません。フィード投稿の場合は複数枚投稿で“画像で読ませる”が基本です。なので1枚目のサムネイルが非常に重要な役目を果たします。一枚目で知りたくなる「キャッチフレーズ」かつ、目をひくデザインでなければ中身(コンテンツ)には辿り着きません。
例えば、「辛口コスメレビュアー」のKARA子さんのクリエイティブは、女性向けの商材やサービスを扱っている事業者の手本になるかもしれません。キャッチーなフレーズやデザイン、トンマナ(トーン&マナーの略。コンセプトや雰囲気に一貫性をもたせること)など流石だと思います。
―― 本当だ!キャッチーなだけでなく数字も上手に活用していますね。思わず見たくなります。
斉藤 他にもキャンペーン施策や質問募集などでコメントを促すのも一つの手だと思います。
―― リール投稿の場合は、どのような点に注意すればいいでしょうか。
斉藤 リール投稿の特徴は最大1分の縦型動画で“バズる”可能性があること。事例をbefore/afterで紹介する症例動画は効果的です。アパレルならコーディネート動画やバックの容量を動画で紹介するなど、動画でしか表現できないコンテンツだと再生回数が伸びます。
―― なるほど。見た目(静止画)ではわからないことを動画にして伝えるんですね。
斉藤 ただ情報を伝えるだけでは十分ではありません。相手の目線に立ったコンテンツであること。そこに「驚き」や「感動」「知らなかったこと」などユーザーの感情を動かす何かが必要です。それさえあれば自然にエンゲージメントはあがっていきます。
―― 「フォロワーのアクションを促すストーリーズ」+「質の高いフィード投稿/リール投稿」で情報を拡散し、プロフィールに新規フォロワーを誘導するということですね。
斉藤 はい。このサイクルを回して自社で勝ちパターンを見出すしかないと思います。簡単ではありませんが、継続することで必ず見えてきます!
ステップ3 動画を活用するメリット
―― 最後に、Instagramにとっての動画活用について、斉藤さんのご意見を聞かせてください。
斉藤 今後は動画がメインになっていくことは間違いありません。極端なことを言えば「静止画である必然性」は無いんです。動画の方が伝わる量も多ければ質も高いので。
―― とはいえ動画だと撮影や編集というハードルがありますよね。
斉藤 そうでしょうか。Instagramに限っていえば、アプリ内でリール動画の編集は簡単にできます。静止画のクリエイティブを複数作る方が大変な場合もありますよね。
―― 確かに。今はCanvaなど質の高いクリエイティブを無料で提供してくれるツールもありますね。
斉藤 そうなんです。ただ、動画で伝えるためのトレーニングは必要だと思います。1分の動画をがんばって作っても、「見るか/見ないか」は冒頭3秒で判断されます。いかに、短い動画で要点を伝えられるかのトレーニングだと思って、ぜひ今日からリール動画に取り組んでもらえたらと思います。
―― はい!やるべきことが明確になりました。ありがとうございました。
取材社 情報
株式会社F.PRODUCERS