52,000講座中1位のオンライン料理教室 驚異のリピート60回を生む3つの工夫

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昨年、「学びたい人」と「教えたい人」をウェブ上でマッチングするサービス「ストアカ」にて52,000講座の1位に輝いたのは「オンライン時短料理教室」を開催する糸原絵里香さん。人気の秘密はリピーターの参加者たち。教室の主催者である糸原絵里香さんが主婦の心を掴んだ理由。さらに、「オンライン時短料理教室」成功の秘密に迫ります。60回以上のリピーターがいる人気の秘訣は、オンラインでサービスを提供する人、必見です!

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糸原絵里香(いとはら・えりか)

株式会社かっぽうぎ 代表

 

島根県生まれ。大学卒業後、高校時代からの夢である臨床心理士になるため大学院進学を機に上京。大学院で心理学を学びながら家事代行や民泊の仕事をしていた際、シェアリングエコノミーに魅せられ「新卒シェアワーカー」になることを決意。しかし、新型コロナウイルスで多くの仕事を失う。収入の補填を目的に始めたオンライン料理教室が大ヒットし、2020年ストリートアカデミーが主催するストアカオブザイヤーに選ばれ、52,000講座中1位に輝く。2020年株式会社かっぽうぎを設立。時短料理のオンライン料理教室やレシピの販売、メニュー開発をはじめ「家事が楽になるエプロン」を開発・販売。メディア露出も多数。現在は、情報番組『まるっとサタデー』で料理コーナーを担当。

2020年 52,000講座の頂点に輝いたオンライン料理教室

編集部(以下、−−) スキルシェアのプラットフォーム「ストアカ」を活用し、Zoomによるオンライン料理教室を開催する糸原絵里香さん。1時間半のレッスンで5品を作る時短料理が人気コンテンツです。参加費は1,000円とお手頃価格で、材料費は2,000円前後。自宅から参加でき、作ったものが自分たちの食事になる。コロナ禍で生まれた新しい形の料理教室です。

糸原さんのYouTubeチャンネル『いとはらクッキング』

糸原さん(以下、敬称略) 昨今、料理レシピを提供するサービスは世の中に溢れています。プロの料理家によるレシピ動画もあれば、クックパッドのようなお手軽レシピもある。まさにレシピ選び放題な世の中です。ですが、それらのレシピを見ながらやっても、やっぱり上手く行かないことは沢山ありますよね。「あれ、こういう場合はどうしたらいいんだろう?」と良く分からない事があって、半信半疑で料理をした結果「なんか思ってた味にならなかった…」みたいな。そんなちょっとした疑問を、料理をしながら直接聞ける「オンラインの料理教室」は、ありそうでなかった。つまり主婦の方の潜在的なニーズに応えられたのだと思います。

 

−− 糸原先生は、手元のカメラで料理をしながらポイントなどを丁寧に解説。参加者は口頭かチャットのいずれかで、いつでも質問ができます。どんな質問にも即座に答える対応力も人気の秘密です。

 

糸原 大抵の質問には答えられますが、わからない時は「ちょっと調べます!」とその場で調べて検索結果画面を共有することもあります(笑)

 

−− また、参加者からの様々なリクエストに全て応えてきたという糸原さん。

 

糸原 レシピのリクエストはもちろん、「材料費をもう少し安くして欲しい」とか、様々なお声をいただくんです。どんな小さなことでも、参加者の皆さんからいただいた要望は全て反映しました。

 

−− 例えば、ランチに間に合うように午前中の開催は10時半から、夕飯に間に合うように、午後の開催は16時からに設定したのも参加者からのリクエスト完成した料理をそのまま家族と一緒に食べられるところが高評価につながっています。開始からわずか2ヶ月で人気講座に。

 

糸原 これまでにあったリアルのお料理教室って、参加する方にとっては趣味の延長線上だったり、友人と一緒に行く「イベント」だったんですよね。でも私が提供しているオンライン料理教室は、作った料理がそのまま家族の食事になる、参加者の皆さんの「家事そのもの」なんです。私は料理のプロではないですが、家事代行の経験から主婦の方が何に困っているかが分かります。それを解消するだけでなく、家事が楽しくなることを目指してオンライン料理教室をやってきました。今では「一人で料理するのは楽しくないけど、みんなで頑張って5品作るのは楽しい」、「料理が苦手な私でもオンラインだと下手なのがバレないから楽しく参加できる」といった感想を沢山いただきますし、「子供たちが野菜を切る担当をしたり、家族みんなで楽しく参加しています」といった声が多くて本当に嬉しく感じています。私も「教えている」という感覚はありません。時間内にみんなで5品完成させる!という一緒のゴールを目指しているだけなんです。

 

−− レッスン後には、レッスンを録画した動画とテキストのレシピが参加者に送られます。また、数日後には「おまけ動画」として新たな時短レシピ動画をプレゼント。サービスしすぎなのでは?とお聞きしたところ、逆にこのおまけ動画を見て、そのオンライン料理教室に後日参加する人も少なくないそうです。

2020年1位のオンラインレッスンの実態

⚫︎ Zoomを活用した1時間半で5品を作るオンライン時短料理教室

⚫︎ 無料のレシピにはなかった、「失敗しない」「すぐ聞ける」が大好評

⚫︎ 「主婦の困った」を解決し、「家事をもっと楽しく」が人気の秘密

⚫︎ 受講後に送る動画レシピでさらに満足度アップ

1分でできる時短料理も人気

リピーターを生む 糸原流 3つの工夫

−− 糸原さんが目指しているのはリピーターの獲得。新規の参加者を集めることより、何度も参加してくれるファンを増やす方が重要だと言います。リピーターを生み出すための糸原さんの3つの工夫について教えてもらいました。

 

糸原 1つはとにかく分かりやすくするための伝え方。例えば、今起きていることを画面に全て見せることです。カメラの外で今、「これ」と「これ」をしているなんてやっていたら、参加者も混乱しますよね。なので、調理方法は極力シンプルにしています。そのため、私の調理器具はコンロとフライパンを一つずつとまな板・包丁だけ。電子レンジも今何をやっているのかが分かりにくいので使いません。また、はっきり喋ることも大切です。オンラインにおいて聞き取りづらいというのはストレスでしかありませんから。そして、今起こっていることを何度も復唱し、遅れている人がいないか目を配ります

 

2つ目の工夫は、参加者全員が時間内で料理を作り終えるための時間の組み立てです。多い時は100人が参加するような教室もありましたが、参加者が何人でも、全員が時間内に全ての工程を終えて、お料理を完成させることがゴールです。レシピは、私が1時間で作れるラインナップにして、参加者の皆さんからの質問に答えたり、応用テクニックを紹介したりする時間も含めて1時間半になるように組み立てています。「1時間半で5品」と言っている以上、早く終わりすぎてもダメだし、時間がオーバーしてもダメで。時間ギリギリになってしまう回は、声色で急いでいることをアピールしています(笑)

 

また、1時間半のレッスンの後に、任意で参加できる30分を設けています。中には、6人家族のご飯を作っている方とかもいらっしゃるので、そういう方はこの30分を活用して仕上げて頂いたりします。あとはレッスンの内容にかかわらず、いろんな質問をいただきます。「冷蔵庫に〇〇が大量に余っているんですけど、何か活用レシピはないですか?」とか。もちろん、家族がお腹を空かせているからと、すぐに退室される方もいますよ。

 

3つ目の工夫は、やはりレシピ。例えば、5品のうち1品は、少し難易度が高いけど、聞いたらパッとイメージができるメニューにするようにしています。その理由は、挑戦する1品を入れることで、参加者さんの達成感が高まるから。例えば、「今日はアクアパッツァを作ってみたよ!」と言えたら参加者もちょっと鼻が高いし、家族も「えーっ、家でそんなのが食べられるの!?」と盛り上がったりするじゃないですか(笑)そして、作った料理がそのまま食卓に並んでもいいような5品になるように全体のバランスも大切です。あとは、彩りや旬の食材にも気を使っています。ファミリーレストランやコンビニなど、メニューの入れ替わりが激しい場所に行き世の中のトレンドを把握することで、参加者の旬なニーズに応えられるようにしています。レシピについて話し出すと、終わらなくなってしまいますのでこの辺りでやめておきますね(笑)

 

−− こういった糸原さんの努力が実を結び、中には60回以上もリピートしている人もいて、「週に1度はバイキングの日」と家族で楽しみにしているそう。

 

糸原 2020年5月にオンライン料理教室を始めた頃は、同じようなサービスはほとんどありませんでした。でも今は、オンライン料理教室はたくさんあります。その中から選んでもらうために努力することももちろん重要ですが、一度参加してくださった方にもう一度参加したいと思ってもらうために、一切の妥協はしません。「参加してよかった」と思ってもらえるような教室に、これからもしていきたいです。

糸原流 リピータを生む3つの工夫

⚫︎ 起こっていることを全て画面に見せる

⚫︎ 作業を複雑にしない。コンロは一つ。電子レンジは使わない

⚫︎ モゴモゴ話さず、はっきり喋る

⚫︎ 1時間半きっかりで終わるメニューと時間配分に

⚫︎ レッスン後に任意で残れる30分が人気

⚫︎ 参加者の手元に残る料理は満足度に直結する

⚫︎ 5品のうち1品は少し難易度が高いけど、誰もが知っている定番のメニューに

⚫︎ そのまま食卓に並べられるようにメニューは「バランスよく」が鉄則

⚫︎ トレンドを把握するために研究も怠らない

労力は最小限に。日本一の舞台裏

−− これまで315回のオンライン料理教室を開催し、延べ6,055人に教えてきた糸原さん※。どのような体制で運営されているのでしょうか(※2021年7月13日現在)。

 

糸原 全て私一人です。連休中などは1日5回開催することもあるので、その時はさすがに買い物や片付けをアシスタントさんにお願いしますが、レッスンや撮影などは全て一人でやっています。参加者さんに送っている動画も、毎週土曜日の開催回に録画したものです。その際は、参加者のプライバシーを守るために、自分の画面にピン留めして、参加者の方が質問などで話しても、録画した映像ではその方のアップにならないようにします。また、レッスンの5日後に「おまけ動画」として別の時短レシピ動画をお送りしていますが、これは、その回に参加していなかった方には「新たな体験」になりますし、その回にも参加して下さっていた方にとっては「復習動画」になるんです。

 

−− 時間や労力も最低限に抑え、その一方で参加者の満足度も上げる、そんな仕組みを工夫されているんですね。リハーサルについてはどうされているんでしょうか。

 

糸原 リハーサルはしません。なぜかというと、リハーサルをすると、作った料理を食べ切れなくて破棄せざるを得なくなりますから。やはり食べ物を扱う仕事として、それはしたくありません。今後は、オンライン料理教室で作った料理の活用方法を考えたいと思っています。

 

−− 毎週木曜日にYouTubeライブによる料理教室についても教えてください。同じ食材で3品作るといった食材推しのコンテンツが多く、1時間くらいの生放送動画ですが、この無料の教室と、有料のオンライン料理教室はどのように分けていますか?

 

糸原 YouTubeは、ライブ配信が始まるまでレシピや食材を公開していません。オンライン料理教室のように動画を見ながら一緒に作るというよりも、見て楽しんでいただくコンテンツになっています。YouTubeは、私もこれからの領域です。今、YouTube用に短くわかりやすいコンテンツを作っているところです。YouTube経由で、私をより知ってもらえたり、オンライン料理教室に興味を持ってもらえたらと思っています。

運営の舞台裏

⚫︎ オンライン料理教室の運営から、録画、配信、メニュー開発など一人で運用

⚫︎ オンライン料理を録画し、それを活用するので、新たな撮影や編集は一切なし

⚫︎ サービスを資産化することで、労力と時間効率を上げる

⚫︎ 作ったものを無駄にしないため、リハーサルはなし

⚫︎ YouTubeチャンネルは、木曜日18時にライブ配信中

⚫︎ 有料コンテンツと差別化するため、ライブ配信まで食材やメニューは非公開

⚫︎ YouTubeは情報の入り口。「短く、簡潔」なコンテンツに今後力を入れていく

YouTubeライブの動画

初回は大赤字。オンライン料理教室が生まれるまで

−− そもそも、なぜ心理学で修士課程まで学んだ糸原さんが、オンライン料理教室をするようになったのでしょうか。

 

糸原 学生時代から、シェアリングエコノミーに興味があったんです。自分のスキルをシェアして、ネット上に客観的な評価が溜まっていく。それが自分のキャリアアップにつながる仕組みが面白くて。卒業後も、民泊業や家事代行、お料理教室などを仕事にする「新卒シェアワーカー」になる決意をしたんです。それがコロナでお仕事が激減しまして。お金がなくなり、収入の補填をしなくちゃと始めたのがオンライン料理教室です。家事代行は500件の実績があったので、主婦が困るポイントはわかっていました。

 

−− とはいえ、オンライン料理教室という前例のない挑戦です。苦労はありませんでしたか?

 

糸原 良い意味でも悪い意味でも前例がないので、目標もベンチマークもなかったんです。とにかく参加者さんのリクエストに応え続けたのが良かったのかもしれません。

 

−− 最初から、うまくいったんでしょうか。

 

糸原 いえ、初回の参加者は年配の男性お一人でした。私とその方と一緒にカレーを作ったんです。材料費、時間、労力を考えたら大赤字です(笑)。でも、お料理が苦手な方でも、一緒にやれば時間内に同じものが完成するということを証明してくれたんですね。これはイケる!と手応えを感じました。

 

−− それから回を重ねて、たくさんの評価を受け、今の糸原さんがあります。最後に、これから動画を活用したいと考えている事業者さんにメッセージをお願いします。

 

糸原 動画だけでなんとかしようと思わず、マーケティングツールの一つとして考えてはどうでしょうか。YouTubeだと再生回数やチャンネル登録数に囚われがちですが、それが全てではないと思います。一つの入り口だと思って、始めてみてください。

 

−− テレビで料理コーナーを持つことになったり、企業の福利厚生でオンライン料理教室を提供したりと、活躍の場が広がっている糸原さん。更なる活躍を期待しています。

オンライン料理教室の誕生秘話

⚫︎ コロナで仕事がなくなり、収入の補填目的に始めた

⚫︎ 初回の参加者は一人で大赤字!

⚫︎ 料理ができない人でも時間内に同じ料理が完成したことに手応えを実感

⚫︎ 徐々に参加者が増え、高評価も増え、人気講座に成長した

 

取材社情報:

 

株式会社かっぽうぎ 

 

キッチンが楽しくなるオンライン料理教室:

https://www.street-academy.com/steachers/196974

 

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