動画経由の成約率85%&広告費削減を実現 中小企業こそビジネスYouTubeをやるべき理由

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2019年2月に始めた動画活用。わずか3カ月で問合せ数と成約率を引き上げた。コロナで売上95%減になる中、「千載一遇のチャンス」と捉え様々なチャレンジをし次々とヒットを生み出す。ウェディングプロデュースをはじめ、飲食やイベント事業を全国で手がけるNEO FLAGの専務取締役の槇島千城さんに、成約率85%を叩き出した動画活用の極意を聞きました。

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槇島千城(まきしま ちしろ)

NEOFLAG.専務取締役

NEOFLAG.創業メンバー。ウェディング事業、イベントプロデュース事業、レストラン事業の統括責任者。2019年に動画の活用を社内に推進する。コロナ禍で、売上95%減の窮地に立たされるが、2020年12月 新サービス「DeliPa」を立ち上げ増収増益を実現。2021年2月より「DeliPa Cool」として事業を拡大。2021年7月には司会者派遣付き料理宅配サービス「パルティ」をリリースするなどオンライン懇親会向けの新事業を推進。

成約率85%に導く動画コンテンツ

編集部(以下、――) ウェディングプロデュース事業では、「1.5次会」という会員制のオリジナルウェディングを全国で提供し、ゲストが主役の自由でクリエイティブなオリジナルウェディングで、これまで2000組以上のサポートをされています。YouTube経由で来店予約をされた方の成約率が85%とお聞きしましたが、この数字の高さにはビックリしました。YouTubeはどのように運用されているのか、詳しく教えてください!

 

槇島さん(以下、敬称略) YouTubeの目的は、お客様に弊社のことを知ってもらう認知度アップ、また、弊社が提供するサービスやウェディングプランナーを「好き」になってもらい、来店誘導をすることです。そのために、YouTubeでは、弊社のチャンネルを知ってもらうためのコンテンツと、弊社のファンになってもらうためのコンテンツを配信しています。

 

―― 具体的にはどのようなコンテンツですか?

 

槇島 大きく分けて3つのカテゴリーに分けています。ひとつは、ターゲットの悩みに応えるコンテンツ。次に、結婚式や結婚に関するノウハウを提供するコンテンツ。3つ目は、弊社のサービスの強みや魅力を伝えるコンテンツです。ただ闇雲にコンテンツを量産するのではなく、目的に応じてコンテンツを準備することは非常に重要だと思います。

 

―― ノウハウや悩み解決の方がわかりやすいし、再生数も伸びやすいですよね。

 

槇島 そうですね。「ウェブ招待状ってどうなの?」とか「結婚式の費用を抑えるコツ」とかですね。万人に必要とされるような、多くの人に見つけてもらいやすいコンテンツはまさに最初の2つのカテゴリーにあたります。

 

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―― コンテンツの企画や動画制作において大切にされていることはなんでしょうか。

 

槇島 全ての動画に言えることですが、「出し惜しみしないこと」を徹底しています。絶対に「持っている情報を全て出し切る」こと。出し惜しみすることで良いことは一つもありませんから。

 

―― そういう姿勢が成約率85%につながっているのでしょうか。

 

槇島 もちろん「役に立った」ことで好感は持ってくれると思います。でもそれだけでは「好き」にはなってもらえません。「来店予約ボタン」を押してもらうためには、弊社の強みや大切にしている想いに共感いただくことが不可欠です。

 

―― 「お客様のインタビュー動画」や「結婚式のダイジェスト動画」によって、顧客が御社について事前に勉強して、理解してから来店されるんですね

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槇島 はい。初めてご来店いただくとは思えないほど、親近感を持って来店される方が非常に多いんです。動画に出演しているウェディングプランナーたちに実際に会えることが、お客様にとって楽しみの一つになっています。

 

―― 実際に、動画経由の顧客と、そうでない顧客ではご成約までに違いはありますか?

 

槇島 大きく違います。成約率だけでなく、ご成約までのプロセスも非常にスムーズなんです。過去にサポートしたお客様は「動画を見てきました。こちらで自分達の結婚式をお願いしたいと思っています。ここに来た理由は、動画に出演しているウェディングプランナーが本当にいらっしゃるかを確認するためです」とおっしゃったんです(笑)。初来店なのにハンコも持参して、その場でご成約いただきました。このお客様が私たちにとっての理想のお客様なんです。

中小企業こそ動画を活用するべき理由

―― 動画活用のきっかけは何だったのですか?

 

槇島 ウェディング業界では、ゼクシィに広告を出して集客をするのがセオリーでした。でも、私たちのような中小企業は、大手のホテルや結婚式場のように膨大な広告費はかけられません。当社ならではの価値を提供することで認知を広げ、お客様を“ファン化”し、来店誘導する手段はないかと考えていた時、YouTubeに可能性を感じたんです。2019年始めの頃は、まだウェディング業界では弊社を含め他社も「ダイジェスト動画の置き場」としての活用以外でYouTubeを利用しているところはありませんでした。

 

―― 運用直後は結果が出るまで大変だったのではないですか?

 

槇島 それがですね。嬉しいことに3ヶ月くらいですぐに効果を実感したんです。まだ動画も5、6本くらいしかアップできていなかったのに、「動画を見て」という問合せが増えて、その成約率も高かったんです。

 

―― それはすごい!「動画は50本から」とよく言われますよね。

 

槇島 そうですよね。私たちもその覚悟で、どんなことがあっても挫けずに50本作ろうと始めたので、成果が思いのほか早く出て、嬉しくてよりやる気に火がつきました(笑)

 

―― そうなりますよね。広告費が削減できた上に、問合せも増えて成約率もあがるんですから。

 

槇島 中小企業こそ、動画を活用するべきだと思います。YouTubeに顔を出して、継続的にコンテンツを発信しつづけるって大企業には難しい点もあると思うんです。人の入れ替わりもありますし、炎上リスクなんかを考えると踏み出せない企業も多いかもしれません。YouTubeは小さい会社だからこそ、スピード感をもって取り組めて、成果があがる最高のマーケティングツールだと思います。

 

―― 他社との差別化を図るためには、どうしたら良いでしょうか。

 

槇島 これは私も教えていただいたことなんですが、「3つ掛け合わせれば唯一無二になる」を実践しています。

 

―― 「3つ掛け合わせる」とは?

 

槇島 イベント会社は星の数ほどありますよね。司会ができるイベント会社もたくさんあると思います。でも、「イベント企画✖︎司会のプロ✖︎ウェディングプロデュース」ができる会社は他にないと思うんです。この会社が結婚を控えたカップルに役立つ情報を発信すれば、きっと喜んでくれる人が沢山いると確信しました。

 

―― なるほど!自社の強みを3つ見つけ、掛け合わせることで、会社独自の価値が明確になりますね。

 

NEO FLAG. Wedding の企画の秘密

・ 「2人以上のお客様に同じ質問をされたら、それはみんなの知りたいこと」

・ 来店アンケートを活用する!お客様の声は何よりの企画の宝庫

・ 企画立案者は、演者であり、ウェディングプランナーでもある。彼女たちが日常的にお客様と接する中で、企画を考えているので業務効率も良い

成功者に学ぶ動画運用のPDCA

―― 先ほど、動画を配信し始めた直後に成果につながったというお話がありました。それはつまり、ターゲット層に動画が届いたから起きた現象だと思うんです。ターゲット層に作った動画を届けることは、多くの企業が直面している課題です。御社の場合は、具体的に何をしたのでしょうか。

 

槇島 SEOで上位表示される記事に動画をあげたり、YouTube単独で勝負するのではなく、SNSやLINEなど自分達が持っているメディアと動画を掛け合わせて露出を増やす努力をしました。

 

―― それが成果につながっていたんですね。

 

槇島 はい。仮に3ヶ月で成果が出なかったとしても、「50本ルール」でコツコツ愚直に積み重ねる覚悟はしていたので、今と同じ結果にはなっていたと思います。

 

―― 結果が出るまで比較的時間がかかる動画は、「継続できるかどうか」が成果につながるかどうかにかかっていると思います。「継続するため」に、何かアドバイスはありますか?

 

槇島 ここは正直、管理者の覚悟の深さだと思います。

 

―― なるほど。では、管理者が覚悟をした先にある継続のコツがあれば教えてください。

 

槇島 一つは、無理して全部を内製化するのではなくて、不得意なところはプロにお願いするのが良いと思います。当社の場合は、編集の時間と労力がネックになったんです。そこで編集だけは外注することにして、それ以外の得意なところをどんどん伸ばすことにしました。もう一つの継続のコツは、効果測定を必ずすることだと思います。

 

―― 御社の場合は、どのような効果測定をしていますか?

 

槇島 来店したお客様、成約したお客様、それぞれのフェーズでYouTubeがどれほど関わっているのかを数値でも感覚値でも把握することにこだわっています。「やっぱりYouTubeは効果ある」ということを現場に醸成していくことで、現場の取り組み方も徐々に変わってきて、彼女たちの優先順位もあがっていきました。

 

―― どのように数値化されているのでしょうか。

 

槇島 必ずアンケートをとるようにしています。来店時には「当社を何で知ったか」。ウェディングプランナーと最初の接点の時に、流入経由をヒアリングして数値化するようにしています。どの動画を見たのか、どの動画が良かったのか、なるべく詳しくお聞きすることで、効果測定ができると同時に、現場のモチベーションもあがるというメリットも感じています。また、ウェブマーケティングの良いところは、インプレッション数や視聴維持率などを全て数値化されるところです。それをしっかり拾い上げて、分析して、改善点も洗い出して、改善策を実践し、また効果測定をするという細やかにPDCA( Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の頭文字を取ったもの)を回し続けることが、何よりも重要だと思います。やりっぱなしは絶対にNGです。

動画活用は社内業務にも効果的

槇島 あと成約したお客様の打合せ時間短縮にも動画は役立っています。「次回のお打合せまでにこの動画とこの動画を見てきていただけると、〇〇さまにとってお役に立てると思います」とYouTubeの動画のURLを送っておくんです。

 

―― なるほど。それは、お客様にとってもウェディングプランナーにとっても助かりますね。

 

槇島 はい。同じものを見ているので、イメージや認識のずれもありませんし、効果的な活用方法だと思います。また、動画が営業マンとして働いてくれて、単価アップにも寄与しています。

 

―― 見込み顧客の獲得、新規顧客の獲得、既存顧客の単価アップと、それぞれ違う成果を同じ動画によってあげていることに驚きました。

 

槇島 さらにですね、「人前で話す」という文化が社内で当たり前になったことで、業務効率も飛躍的にあがりました。最初は「恥ずかしい」とか「うまく話せない」などで15分の動画に、何遍も撮り直して数時間かかっていました。でも、今ではなんでもかんでも動画に撮って、限定公開で社内共有しているんです。連絡事項は動画なので、ミスコミュニケーションも一切起こりませんし、社員の予定を合わせて会議室に集合することもありません。YouTubeにあがっている非公開動画の本数は凄まじいですよ(笑)

 

―― 最後にこれから動画活用をする中小企業、さらに成果をあげたい中小企業の皆さんにメッセージをお願いします。

 

槇島 繰り返しになりますが、まずは「目的は何か」を明確にすることだと思います。これを明確にすることで再生回数やチャンネル登録者数といった数字に惑わされず、目的にそった動画活用ができると思います。大きな数字は嬉しいし、追いかけたくなりますが、私もその都度「目的は何か」に立ち戻っています。

 

あとは、「動画50本までは振り返りもなにもない」ということ。ただひたすら50本の動画のアップを目指してください。50本の動画を制作・アップして初めて、動画活用を続けるか続けないかを決めたらいいと思います。軌道に乗れば、本当に想像以上のメリットを実感するはずです。一緒にがんばりましょう!

 

 

 

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