よむどー創刊1周年記念 編集長インタビュー「中小企業の動画活用!成功者たちの事例から見えてくる成否を分けるカギ」

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緒方宣文(おがた・のりふみ)

株式会社Soucle代表取締役

熊本県出身、48歳。5児の父。

大学中退後、横浜リクルートに入社。求人広告営業で数々のMVPを受賞。その後、ビクターエンタテインメントに転職。音楽アーティストの制作宣伝に従事し、全国を駆け回る。2008年にプロデュース業で独立。小劇場系の劇団を日本一のひとつに成長させるなど、これまでに手がけたアーティストやライブ・イベント・舞台・番組は700件以上。3.11の震災後、東北被災地で3つの事業をプロデュース。2017年8月より現職。経営に最も重要なリソースである「時間」を「資産」に変える役割を担う「動画活用」を通じて、全国の中小企業のプロデュースをおこなっている。

変化の時代と動画活用の関係

 編集部(以下、――) この数年は、ビジネスにおける常識を大きく覆されました。この変化のスピードについていくのは大変だった事業者も多いとおもいます。動画活用に限らず、編集長は近年の変化をどのように感じていますか?

 

緒方編集長(以下、敬称略) まず、コロナ禍でコミュニケーションの形が激変しましたよね。リモートワークや「オンライン〇〇」が当たり前になったことで、今まで以上に、合理化や効率化が加速したように感じます。

 

―― 確かに、オンライン会議やオンライン商談が当たり前になったことで、コロナ禍前よりスケジュールが密になった気がします。より、時間の大切さが身に染みています。

 

緒方 そうなんです。IT技術、通信技術が進化したことで、私たちの仕事も生活も便利になりましたよね。でも、便利になった分だけ余裕が生まれたかというと全然そんな事はなくて、むしろもっと時間に追われるようになったという方が大半だと思います。そういった環境の中で 「自分の時間を何に使うのか?」という判断基準がよりシビアになってきますよね。

 

―― はい。コロナ禍前のような会食やアポイントの取り方にはもう戻れないかもしれません。「それは意味があるのか」「オンラインじゃダメなものか」を考えてしまいます。

 

緒方 まさにその通りで、多くの方が「自分の時間の大切さ」を以前よりちゃんと考えて行動するようになってきたんですよね。だから、表面的には合理化・効率化の追求が進むその水面下で、実は「質と価値の時代」に移行している、その真っ只中なんじゃないかと思いますね。

 

―― 「質と価値の時代」においては、何が重要になってくるのでしょうか?

 

緒方 自分達ならではの価値をどうやって生み出し、そして発信していくか、これに真剣に取り組んでいる会社は伸びていくし、それが出来ていない会社はドンドン厳しくなっていく、そんな時代になってきているように思います。合理化・効率化はあくまでも手段です。大事なのは いかに価値を提供できたか。そして、この2年間でそこに気付いて動画を活用する企業が増えてきましたね。

 

―― 合理化・効率化はあくまでも手段だと。

 

緒方 はい、多くの事業者が陥ってしまいがちな罠が2つあるような気がしていまして、1つは「自分たちのための合理化・効率化」になってしまっているケース。そうではなくて、「顧客やユーザーのための合理化・効率化」であることが非常に重要だと思います。それを本当に追求していけば、結果的に必ず自分たちの合理化・効率化にも繋がりますからね。

 

―― もうひとつの罠は何でしょう?

 

緒方 方向性を間違うと、むしろ差別化が難しくなるってことですね。これは営業や販売促進においてよく陥る罠だと思うんですが、マーケティングで合理化・効率化を追求すると、公約数的なアングルからより最短距離で答えに辿り着こうとする力学が働いてしまいます。そうすると、みんなが集約された同じ方向に向かってしまいがちなんですよ。

 

―― なるほど、無駄なことを削ぎ落として効率化されていくほど、みんな同じようなことを言っている状態になってしまうんですね。

 

緒方 そう。日本の企業というのは全体的にマジメなので、どの会社のどの商品・サービスも本当に優秀なんですよね。だから機能性やスペックだけで圧倒的な差別化を図るのは難しい。その中で合理化・効率化を追求すると、結局 他社と同じようなことになっていくので、価格競争と広告宣伝費の勝負、つまりパワーゲームに巻き込まれちゃうんです。私たち中小企業は そっちの土俵に上がっちゃったら絶対大手には勝てませんよね。

 

―― 合理化・効率化は やり方を注意しないと、むしろ自分達ならではの価値から遠のいて疲弊してしまう危険性がありますね

 

緒方 それに、人はそこに「やりがい」は感じられませんよね。結果として、社員たちのモチベーションを下げ、成長しない組織に向かってしまう。でも、ここに気づいて、自分達の価値を生み出すこと、そして動画を活用して、それを発信し続けることにしっかり取り組んでいる事業者も増えてきたと感じています。そんな会社にとっては、むしろ今はチャンスの時代です。そういった意味では、よむどーで紹介している事業者の皆さんは、まさにその先駆者たちかも知れません。

成果を生んでいる事業者に共通する ファン獲得の3つのポイント

―― よむどーで紹介している事業者は、動画をうまく活用することで顧客を獲得し、売上・利益を伸ばしています。成果をあげている事業者に共通する点はなんでしょうか。

 

緒方 皆さんに共通するのは、動画を活用して、しっかり自分達のファンをつくっているということだと思います。物も情報も溢れかえった時代、そして、お金や時間の使い道がどんどんシビアになっている時代の中で、いかに自分達の会社・商品・サービスを選んでもらえるかの勝負になるワケですが、よむどーでご紹介した事業者の皆さんは、そのために必要な「自分達ならではの価値」を動画でしっかり発信されていますよね。

 

―― 確かに、他社にはない「自分達らしさ」を発信している事業者ばかりですね。

 

緒方 先ほど言った通り、パワーゲームになったら中小企業は大企業には勝てない。だからこそ、アッという間に流れ去り 埋もれてしまう「インフォメーション」ではなく、自分達ならではの「ストーリー」を発信できているかどうかが勝負の分かれ道になってきていると思います。

 

―― ファンを作っていくために重要なこと、具体的には何がありますか?

 

緒方 まずひとつは「誠実さ」や「正直さ」じゃないかなと。多くの事業者が、どうしても自分たちを“少しでもよく見せよう”と頑張ってしまうんですけど、よむどーでご紹介した皆さんは ありのままの姿を、誠実に、真摯に、正直に伝えていますよね。非常に勇気が要ることですが、それは他ならぬ「顧客のために」を大切にしているからこそ出来ることです。その姿勢・スタンスが評価される時代になったということなんだと思います。そして、これを伝えるのに動画は本当に強い。文字だけで伝えるのと比べた時に、伝わる量がもう圧倒的に多いですからね。

 

 

緒方 そしてファンづくりの2つ目のポイントが「人の魅力を発信していること」。彼らは「想い」をしっかり伝えていますよね。それに共感共鳴してくれた方々がちゃんとファンになっている。みんな真似すればいいのにと思うんですが、実はこれも事業者側からすると結構勇気が要ることだったりするのかも知れません。

 

―― 勇気が必要というのは、どういうことでしょう?

 

緒方 「出来れば自分は前に出たくない」、「顔を出すのは避けたい」そう感じる人も少なくないと思うんですよね。炎上なんかしたら それこそ大変だと(笑)。でも、それを乗り越えてしっかり自分の想いを発信している所に支持・信頼が集まるワケですよ。顧客側の立場で見ると当たり前の話ですが、やはり、胸を張って表に出て、自分の想いを発信している相手の方がより信頼できるんですよね。

 

―― 確かに、顔が見えない・当たり障りのない内容よりも、ちゃんと自分の言葉で想いを伝えてくれた方が信頼できるかも知れませんね。

 

緒方 ここで大切なのが、「想い」を伝えても、それが全員に刺さるわけではないという前提に立つこと。そもそも私たち中小企業のビジネスは、本当のターゲットは絞られるはずで、自分たちの価値をちゃんと認めてくれる顧客を大切にして、そこを伸ばしていくのが原則ですよね。そこが最後の3つ目のポイントで、「自分たちのターゲットはニッチである」ということを認識した上で、そのターゲットに対して、より高い満足度や感動を感じてもらう仕事をいかに積み重ねるかが肝心です。

 

―― よむどーの事業者さんは、そのニッチな領域のファンを全国に拡大しているのが印象的でした。

 

緒方 一見するとニッチなニーズでも、それが集まると大きな数・力になる、それを実現してくれるのがネットの力ですよね。リアルの世界ではニッチなターゲットを見つけ出して顧客にするのは難しいけれど、ネットの世界なら、ちゃんと発信していれば、たとえニッチでも価値観が一致する人を見つけやすい。それによって「私だけじゃない」といった安心感や、「わかってくれた」といった喜びに繋がることも沢山あります。それぞれの価値観が一致する瞬間が増えれば、豊かさも増える。動画は、それをブーストしてくれる強力な武器になりますし、よむどーでご紹介した事業者の皆さんは本当にうまく活用されていますね。

成功者たちの事例から見えてくる成否を分けるカギ

―― 一方で、取り組んではみたものの、なかなか成果に結びつかなく悩んでいる事業者の皆さんも多いように思います。何が問題なのでしょうか。

 

緒方 成否を分けているのは「相手の目線に立って考えているか」ということに尽きると思います。これは一見すると ごく当たり前のことのように聞こえるかも知れませんが、実際にやってみると非常に難しい。よむどーで紹介した皆さんもお話を聞くと、これに気付くまでが大変だったと話されていた方が多かったですよね。あなたが言いたいことではなくて、「相手が知りたいこと・困っていることは何か」→「だとすると 何を発信していくべきか」、これを考えて実行することが成果に繋がるたった一つのカギだと思います。でも、ここは本当に自分たちだけでは なかなか気付きにくいところだったりしますので、今後はそういった悩みを抱える皆さんを積極的にサポートしていきたいですね。

 

―― 「相手の目線に立って考えた発信」 このスキルを高めていくのに何か有効な方法はあるのでしょうか?

 

緒方 とにかく動画を作って発信してみること、これだと思いますね。よむどーでご紹介した皆さんも口を揃えたように仰っていましたよね、「とにかくやってみること。これが1番大事だ」「やってみて初めて分かることだらけです」と。動画は、自分が伝えたいことを、いかに分かりやすくシンプルに かつ 印象的に伝えるか、その何よりのトレーニングになります。そして、これは仕事のあらゆる場面で生かされるスキルなので、1日でも早く取り組んで頂きたい!これは強くお伝えしたいところですね。

 

―― 最後に、よむどーを応援してくれている読者の方にメッセージをお願いします。

 

緒方 合理化・効率化が進む現代社会では、経営者・社員・スタッフの「同じ時間で生み出せる価値」をどうやって高められるかがキモになってきます。そこでは動画活用が欠かせません。そして、人口減少が進む日本では、今後それがますます加速すると思います。

 

中小企業の皆さんを日々サポートする中で、「本当に自分たちにも出来るようになりますかね〜?」とよく聞かれます。その度に私は「必ずできるようになります!」と胸を張ってお答えしています。ただ、何事もそうですが、動画に関しても例外なく、数だけが質を担保するんです。取り組み続けることで、初めてわかることが沢山あります。ここに近道はありません。一緒にがんばっていきましょう!

 

 

毎週金曜日昼12時半〜 緒方によるFacebookライブを配信中です。

【中小企業の動画活用をわかりやすく解説!】

これまでのライブも、アーカイブ動画でご覧いただけます。ぜひ、チェックしてみてください。

 

 

 

 

Facebookライブ Vol.4 最初に陥りがちな罠 ~中小企業の経営者必見!ビジネスを伸ばす動画活用の本質とは〜