2020年ビジネス書売上1位の経営者が断言!「動画活用は100%上がる株に投資するようなもの」
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ビジネス書のベストセラー著者である永松茂久さん。2011年に処女作を刊行してから、ビジネス啓発の書籍を次々に出版し累計部数は210万部以上。昨年刊行した『人は話し方が9割』(すばる舎)は2020年売上第一位に輝き、2021年6月に刊行した新刊『喜ばれる人になりなさい』すばる舎)も4刷と絶好調。永松さんは、10年前から書籍のプロモーションや購入特典に動画を活用するなど、業界では稀有な存在。「書籍と動画」という一見異色の組み合わせはどのようなアイデアから生まれたのか。著者として、実業家として、動画をフル活用する中で、日本で一番売れた本をいかにして作ったのか。その実態に迫ります。
累計発行数210万部のベストセラー著者直伝 動画活用の極意
編集部(以下、ーー) 昨年、最も売れたビジネス書『人は話し方が9割』の著者であり実業家の永松茂久さん。日本一を取ったら書くと決めていた自身初のドキュメンタリー『喜ばれる人になりなさい』を2021年6月に刊行したばかり。亡き母の遺書から生まれた感動のストーリーは、発売前から重版がかかり、現在4刷と多くの人に感動と共感を与えています。
今回、よむどー編集部が心を撃ち抜かれたのは、本書の読者特典である「『喜ばれる人になりなさい』オリジナル映像」です。一人の青年とお母さんの物語。不思議と映像の中の物語が自分に投影され、涙が止まらなくなる。もう一度本書を読み返し、また涙する。そんなことが起きました。
今回特別にこの読者限定特典映像を紹介する許可をいただきました。
ーー この動画の目的は「本を買ってくれた人への感謝」であり、「本を買ってもらうため」ではないという永松さん。
永松さん(以下、敬称略) 僕たちが使う動画は、あくまで「本の価値をあげるため」にあります。本にはできないことを動画にしてもらう。例えば、その人の人柄や声、話し方などはテキストでは表現しにくい反面、動画だったら何十倍の情報量が届きます。逆に、感情だったり、その出来事にあった背景や想いだったりは、テキストの方が伝わる場合が多い。そうやってお互いの価値や強みを生かして、シナジーを生むことが目的です。
ーー 動画は「おまけ」ではないと断言する永松さん。どんな種類の動画でも、「見てよかった」、「ためになった」と視聴者にとって価値あるコンテンツでなくてはならないと言います。
永松 コンテンツに価値がなければ、当然ビジネスにプラスにならない。そこは無料(コンテンツ)でも同じ。お客さんが喜んだり、感動してくれて初めてその会社や製品のファンになってくれるんです。書籍の場合は、ブランディング目的で動画を活用していますが、結果として書籍の売上にもつながっています。
ーー 書籍と動画というのは、一見すると異色の組み合わせのように感じますが、永松さんは、最高の組み合わせだと言います。動画で伝えているのは「情報」ではなく「ストーリー」。その「ストーリー」が読者の心を動かし、読者が勝手にアクションを起こしてくれます。
永松 「ストーリー」によって共感が生まれ、そこから情報が共有されていく。今回『喜ばれる人になりなさい』を刊行して、この「ストーリー」が生み出す拡散力を改めて実感しました。本を読んでくれた人たちが、動画やテキストで、本の感想をSNSにアップしてくれるんですが、その時に本の表紙の画像に加え、#(ハッシュタグ)で本のタイトルや僕の名前をタグづけしてくれるので、情報がどんどん拡散していったんです。
ベストセラー作家の動画活用の極意
⚫︎ 動画は本の価値を上げるためにある
⚫︎ 動画と本はできることが違う。相乗効果を生むように活用する
⚫︎ 動画のコンテンツは「おまけ」ではない。価値あるコンテンツに
⚫︎ 情報ではなく「ストーリー」を伝える
処女作で見つけた「動画活用の出口」
ーー 永松さんが動画の持つ力を確信したのは2011年処女作を刊行したときに遡ります。
永松 処女作である『感動の条件』を刊行する時に、書店のTSUTAYAさんが展開する「TSUTAYAビジネスカレッジ」で、この本をDVD化して刊行と同時に発売することになったんです。「TSUTAYAビジネスカレッジ」は「知的エンターテインメント」をスローガンに学びをテーマとするDVD、CD、本のシリーズ。最初は、販路が広がることがメリットくらいに思っていたら、なんとDVDから火がついたんです。その後に、どんどん本の増刷がかかって、びっくりしましたね。
ーー 書籍は20万部のベストセラーに。TSUTAYAビジネスカレッジの「DVD付BOOK 最多販売賞」も受賞します。このDVDはどんな内容だったのでしょうか。
永松 一言で言えば「書籍の内容をDVD化したもの」なのですが、とにかくDVDを見てくれた人も、本を読んでくれた人も、両方買ってくれた人も、みんなハッピーになることを目指したんです。だから妥協は一切ナシで自分たちが納得するまで徹底的にやりきりました。「飛行機代を出すから来て!」と動画クリエイターを九州まで呼んで、うちのスタッフと徹夜で作業しましたからね(笑)
ーー 永松さんがこだわったのは、「見た人の心を動かすこと」。知識や情報を伝えるだけでなく、共感・共鳴してもらうこと。そのためには動画の活用が不可決。処女作の経験から それを確信したと言います。
処女作が教えてくれた動画の力
⚫︎ 動画と本は最高に相性がいい
⚫︎ 動画は、人の心を動かすために必要不可欠
制作は絶対内製するその理由
ーー 驚くべきことに、永松さんは全ての動画制作を自社で内製しています。
永松 ある企業の周年パーティに招待された時に、その会社の歴史を紹介するVTRが流れたんです。尺は10分くらい。素敵な映像だったので、後でこっそり製作費を聞いたら、なんと300万円!どんなに素晴らしい動画でも、一本の制作費に300万円を投じるのは中小企業には現実的ではありません。だったら専属の社員を置いた方が、費用やマーケティングの観点からみても圧倒的に効率が良く、ビジネスが成長すると思ったんです。会社のことを一番知っているのは社員ですから。
ーー しかし、永松さんがしたことは、動画クリエイターを新たに採用することではありません。「一流の人材を集めるのではなく、いまいる人間を一流にする」という永松流人材育成の下、動画に関しては全くの素人だった社員を、鍛え上げることにしたのです。
永松 私の会社は未経験でも、興味がなくても、まずはみんなで挑戦する社風があります。動画についても同じでした。未経験でも「とにかくやってみようと」。社員みんなが、がむしゃらにやってくれているおかげで今があります。今では動画制作の依頼が他社さんから来るまでになっています。
ーー 企業で新たに動画制作に取り組む上で、必要なことはなんでしょうか。
永松 ひとつは、動画のターゲット、作る目的やゴールは明確にしてあげること。「とりあえず、うちも動画を始めることにした、よろしく頼む」など、上司からの適当な指示で始めるのは絶対NGです。なぜなら、不明確な指示は、時間や業務効率が悪いだけでなく、担当者の動画に対するモチベーションも低下します。もう一つ動画制作において必要なのが、動画の発表の場を設け、ターゲットの良い反応がダイレクトに得られる機会を意図的に作ることです。何かをゼロから作る作業は正解もなく、本当に大変です。だからこそ、フィードバックの場や視聴者の反応が非常に大切。自分が苦労して作った作品を見て、誰かが笑ったり、感動したりするのを見たら、制作のモチベーションが間違いなく上がります。そうやってうちのスタッフは「動画制作の沼」にはまっていき、相当レベルをあげました(笑)
ーー 「見た人の心を動かす」、そんな動画制作の過程は苦しいもの。だからこそ、楽しさを体験させることが重要だという永松さん。
永松 うちは元々社員同士、めちゃくちゃ仲が良いと思いますが、動画制作を通じて、さらにコミュニケーションの質が高まったと思います。動画制作って、自分の内面を画面上に出す作業なので、自分自身のことや、他人を理解するのに最適なツールです。そういった観点からも、動画の内製化はとてもおすすめです。
永松流 動画制作内製の極意
⚫︎ 動画は内製した方が、費用においてもマーケティングにおいても業務効率が良い
⚫︎ 動画未経験でも一流になれる
⚫︎ 動画制作のモチベーションを上げる環境を用意する
⚫︎ 動画制作の目的とゴールを明確にする
⚫︎ 動画は最高のコミュニケーションツール
企業における動画活用の進め方
ーー では、企業が動画制作を内製する場合、どのように進めれば良いでしょうか。
永松 例えば、企業HPに載せる経営者のメッセージ動画を制作するのはどうでしょう。どんなに口下手な経営者も、1時間カメラの前で話せば5分はいいことを話します(笑)。その5分間をうまく編集して短い動画を制作し、会社のHPにあげればいい。それがあるのと無いのとでは、メッセージの伝わり方は全く違います。これからは、採用にも動画は不可欠だと思います。どんな社長なのか。どんな人が働いているのか。どんな職場環境なのか。動画で紹介することが当たり前になるはずです。
ーー 動画による採用効果は永松さんも実感しているそうですね。視聴者の心を動かす、リアリティあふれる動画を作る秘訣などありましたら、ぜひアドバイスをお願いします。
永松 僕の場合は、2001年頃から何かある度に、いつもカメラを回していたんです。社内のイベントや家族のイベント、仕事風景なんかを、ひたすら撮っていたんですね。当時はどういう風に使うかなんて全くイメージできてなかった。でも、今は本当に残しておいて良かったと思います。今回の新刊『喜ばれる人になりなさい』の特典映像も、昔の映像が入っているのはそれが理由です。ぜひ、今からでも社内イベントや、社長のスピーチ、何気ない仕事風景なんかを撮影してください。「仕事」と思わずに「思い出づくり」くらいの軽い気持ちで。ひとつ注意して欲しいのは、撮影した動画に必ずラベルをつけること。撮った日付やタイトルを忘れないでくださいね。
ーー 撮影から編集、プロモーションまで、どのような体制でされていますか?
永松 今、動画のスタッフは僕を除いて4人いますが、分業制にはしていません。みんな一通りの作業はできるので、プロジェクトによって作業分担が違うのですが、プロジェクトリーダーや作業工程のディレクターを決めておくのは非常に大切だと思います。それから、これは僕の個人的な意見ですが、これからの時代、女性が動画活用を担っていくような気がします。今回の新刊で実感しましたが、女性は動画に対して苦手意識が少ないんです。気に入ったものや、美味しいもの、好きな人、お子さんの成長など、日常をコンテンツ化することや、情報を届けることに非常に長けている。在宅でもできますので、ぜひ、そういう眠っている人財を掘り起こしてはどうでしょうか。
中小企業の動画活用の始め方
⚫︎ 経営者に自由に語ってもらう。それを社長メッセージとして編集する
⚫︎ 採用には動画は必要不可欠になる。社内コンテンツを作ってみる
⚫︎ 会社のイベントや何気ない日常を撮影する癖をつける
⚫︎ 撮影した動画には必ずラベルをつける
⚫︎ 女性の感性を動画に活用する
動画をビジネスで活用しない理由なんてない
ーー これから動画活用を始める事業者さんへメッセージをお願いします。
永松 正直、動画を活用しない理由がわかりません。自分たちの商品やサービスの魅力をリアルに伝えることが出来て、社員・スタッフや顧客の思いをWEB上で発信・共有することも出来る、そして、採用でも威力を発揮し、社員教育にもメチャクチャ使える。ズバリ言ってしまえば、ビジネスにおいて動画活用は、100%上がる株に投資するようなものです。今は、簡単で安価な制作ツールがたくさんあります。質の高いコンテンツが社内で制作できるんです。僕たちが動画を撮り始めた頃って、何十万もする大きなカメラを肩に担いで撮影し、専用のパソコンを買って編集して、うちのスタッフは本当に大変だったと思います。でも今は極端な話、スマートフォンと少しのツールがあれば動画活用は始められます。始めない理由なんて、どこにもないはずなんです。「できない」と思っているとしたら、それは思い込みです。動画の可能性は無限にあります。ぜひ、今すぐ始めてください!
ーー 永松さんのこれからについても教えてください。
永松 『人は話し方が9割』がおかげさまでたくさんの方に届いて、「日本一の景色はどうですか?」とよく聞かれます。でも、ここから見えるのは困っている人の姿です。母の遺言通り、困っている人を助けたいと思います。今後は、著者の育成事業に力を入れていく予定です。この事業を通して、出版業界を盛り上げていきたいです。そこではもちろん動画の重要性も発信していきます。
動画活用のすすめ
⚫︎ 動画活用は、100%上がる株に投資するようなもの
⚫︎ 「できない」というのは思い込み
⚫︎ 今すぐ、始めよう!
元エンタメ業界のプロである「よむどー」編集長 緒方による裏解説動画も公開中!
今回は番外編です!!
取材者情報
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