生放送4,000回の元NHKキャスターが教える 動画初心者のための「話す力」で夢を叶える方法
〜連載Vol.3〜動画の7割はココで決まる!「構成台本」の作り方
INDEX
「動画を始めたいけど、何から始めていいかわからない」、「動画を始めてはみたが、すぐに挫折した」といった悩みを持った動画初心者が、動画活用の最初の一歩を踏み出し、一本の動画を完成させるための本企画。第1回目は、動画でメッセージを発信する上で基本となる心得とメインメッセージの作り方についてご紹介しました。第2回目は、動画スピーチで視聴者から信頼を得るための「パブリックセルフイメージの作り方」について教えてもらいました。マインドセットし、伝えたい肝の準備をし、パブリックセルフイメージが固まったら、次にすることは構成台本をつくること。構成台本とは、いわば動画の設計図。これがなければ、相手に伝わる動画は作れません!シンプルだけど、相手があなたに興味を持つ、そんな構成台本の作り方を動画スピーチコンサルタントの重信香織さんに教えていただきます!
構成台本が必要な理由
こんにちは、動画スピーチコンサルタントの重信香織です。
連載3回目のテーマは、構成台本の作り方になります。構成台本とは、イントロ、ボディ、クロージングの3つのパーツからなるアウトラインのことです。動画を構成する情報だけでなく、話す順番が明確になり、動画撮影の際の進行表の役割も果たします。
なぜ構成台本が必要かというと、多くの人が頭の中で言いたいことを整理できていないからです。また、伝えたいことが多く、情報を詰めすぎていることが非常に多いです。ですから、どんな情報をどんな順番で伝えるかを、構成台本を作って整理することが非常に大切になります。
最初にお伝えしたいことがあります。それは、構成台本を作っていく上で最初からセリフを一字一句全て文章にして書き出すことはNGということ。構成台本は、真っ白なキャンパスに少しずつ色をのせ、画(え)を完成させていくイメージで作ってほしいのです。とても抽象的ですが、「伝わる」ためには、ここが非常に重要です。この理由は、徐々に明らかになっていきますので、まずはこれから説明する構成台本の作り方に沿ってやってみてください。
信頼を勝ち取るイントロの作り方
今回は、「自己紹介+自社の製品やサービスを紹介する動画」の構成台本という設定です。動画を見た視聴者が、あなた自身やあなたの会社に興味を持ち、次のアクションを起こしてもらうことがゴールになります。それでは、構成台本の作り方を順番に見ていきましょう。
まずはイントロです。イントロは、あなたの会社やあなた自身の紹介です。
ここで視聴者の共感、興味関心、信頼を得なければ、動画はすぐさま消されてしまうという厳しい現実が待っています。そうならないためのポイントを2つご紹介しますね。
1つ目のポイントは、長々と話さないこと。キャッチコピーやミッション、肩書きなどを盛り込んでワンフレーズで語れるようにしましょう。例えば私の場合は、「話す力で夢を叶える人を応援する 動画スピーチコンサルタントの重信香織です」となります。
2つ目は、簡潔に仕事内容を説明すること。ここで長々と経歴を話す人がいますが、それはNG!ここで視聴者が知りたいのは「あなたの経歴ではなく、あなたがどんな人なのか」ということです。その上で、固有名詞と数字をうまく活用することで、信頼・信用につなげることができます。
これから2つの例をご紹介します。
1つ目:私は、長年、いくつかの放送局で、たくさんの生放送を経験してきました。
2つ目:私は、NHKをはじめ4つの放送局で、10年間テレビキャスターをしてきました。10年間で担当した生放送は4000回を超えます。
いかがでしょうか。どちらも私の自己紹介ですが、固有名詞や数字が入っているのと無いのとでは、受けとった印象は全く違うものだったと思います。固有名詞が入っていることで、聞いている人が具体的にイメージできますし、具体的な数字が入ることで、信用にもつながります。この両方を入れることで、信頼度がグッと上がるのです。
イントロを作る際に、私がいつも活用しているテンプレートをご紹介します。頭の中で整理するのではなく、紙に書き出すことが非常に重要です。書き出すことで気づきがたくさんあります。ここは、文章ではなく、キーワードで書き出すようにしてください。
ボディを構成する3K
ボディというのは、動画のメインコンテンツ、つまりあなたが伝えたい内容の詳細になります。通常のコンサルティングサービスでは、クライアントの伝えたいことを私がヒアリングをして整理しますが、この連載では、『型』をご用意したので、ぜひ、この型を活用してあたな自身で整理してみてください。
フォーマットにありますように「課題提起」「共感」「解決策」の頭文字をとって3Kと呼んでいます。
順番に見ていきましょう。
課題提起のK は、相手の課題や悩みを言語化し、欲求を明確にしてください。視聴者は、課題や悩みに気づいていない場合が意外と多いです。ですから、相手がそれを認識できるように「こんなことに困っていませんか?」と教えてあげる必要があります。
例えば私が、構成台本の作り方を動画で紹介したい場合は・・・
「あれも話したい。これも話したい。伝えたい情報がたくさんになってしまって、何をどんな順番で話したらいいかわからなくなった経験ありませんか?」
となります。
いかがですか?「構成台本」と聞いてもその必要性はいまいちピンと来ない方でも、悩みや困っていることを明確にすることで、「あ、私のことだ」と気づくきっかけを与えることができるのです。
次に、共感のKです。ここでは、自分も同じ悩みや痛みを持っている、または過去に持っていたことを伝えることで、対象者の共感を得ることが目的です。同じ悩みを持っている方を多数サポートしてきたという実績でも結構です。その上で、その問題を持ち続けるとどんなネガティブなことが起こるかを、ストーリーで描写してください。
最後に、解決策を提示します。
ここも文章ではなく、キーワードで書き出すようにしてください。
このボディが整理できたら、あとはクロージングです。
下のテンプレートの通り、結論も大事ですが、ここであなたの想いをもう一度伝えてください。そして、あなたが対象者にしてほしい行動を明確に示してください。ここはしっかり背中を押してあげることが非常に大切です。
構成台本はラブレターのようなもの
ここまでに整理した情報を、いよいよ構成台本に落とし込んでいきます。イントロ、ボディ、クロージングの3枚のシートに書いたキーワードの中から、必要な情報だけを選んで、下にあるテンプレートに書き込みます。
ここは、伝えたい本筋とブレていないかを見極め、大きなズレを修正することが目的です。ここで役に立つのは、Vol.1で作った「メインメッセージ」です。メインメッセージはあなたが伝えたいことの根幹であり、あなたの話の奥底に眠っている、相手に受け取ってほしい「何か」を言語化したものだったはずです。
今回の構成台本が、メインメッセージからブレていたり、何か違和感がないかを確認するとともに、あなたの伝えたいメッセージが相手に伝わるかも確認します。聞き手に回った時に、このメッセージが本当に刺さるかどうか、がポイントです。ターゲットに近い方に見てもらったり、聞いてもらったりするのがベストです。
では、ここでズレや違和感を感じたら、どのように修正すればいいでしょうか。ここは、繰り返しになりますが、主語を「あなた(ターゲット)」にして、相手の視点で語っているかどうかを確認しましょう。どんなに気をつけていても「私ができること」の視点になりがちです。「相手があなたにしてほしいこと」の視点で話しているかどうかを繰り返し確認してくださいね。構成台本は、ラブレターを書くように対象者を思い浮かべて作ってみてください。「説明」ではなく、「想い」が伝わるかどうかが重要です。
ここまでできたらあとは伝えたいキーワードを伝えたい順に並べていきましょう。これが構成台本です。繰り返しになりますが、ここでも決して文章にはしないでくださいね。
構成台本ができたら、必ず声に出して話してみる
構成台本はできましたが、まだ終わりではありません。もう少しお付き合いください。今度は、構成台本に沿って声に出してしゃべってみましょう。なぜ構成台本に沿って喋る必要があるかというと、言葉と自分の気持ちが結びついているかどうかを確認するためです。
しゃべってみて、違和感があったり、同じところでよく間違えたり、引っかかるところはありませんか?この現象は、自分の言葉ではなかったり、自分の中で腑に落ちていなかったりする場合によく起こります。違和感がなくなるまで、言葉を探してみましょう。あなたの感覚に確認しながら、違和感や気持ち悪さがなくなったら構成台本の完成です。
最後に、私の構成台本とそれに沿った動画をご紹介します。参考になれば幸いです。
最終回では、動画撮影にのぞむ前の練習方法についてお伝えします。クライアントの皆さんからとても喜ばれ、活用いただいている練習方法です。楽しみにしていてください。
連載Vol.1 動画を途中で消させない!「メインメッセージ」の作り方 はこちらから
連載Vol.2 冒頭3秒で信頼を勝ち取る!「パブリックセルフイメージ」の作り方 はこちらから
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