生放送4,000回の元NHKキャスターが教える 動画初心者のための「話す力」で夢を叶える方法
〜連載Vol.4〜意外と知らない!動画スピーチの正しい練習法
INDEX
「動画を始めたいけど、何から始めていいかわからない」、「動画を始めてはみたが、すぐに挫折した」といった悩みを持った動画初心者が、動画活用の最初の一歩を踏み出し、一本の動画を完成させるための本企画。第1回目は、動画でメッセージを発信する上で基本となる心得とメインメッセージの作り方についてご紹介しました。第2回目のテーマは「パブリックセルフイメージの作り方」、第3回目のテーマは、「構成台本」の作り方をお伝えしてきました。最終回となる今回は、カメラの前で話すための「練習法」です。これをするかしないかで、動画の完成度が大きく変わります!
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連載Vol.1 動画を途中で消させない!「メインメッセージ」の作り方 はこちらから
練習のゴールは「噛まずに話すこと」ではない!
こんにちは、動画スピーチコンサルタントの重信香織です。
早いもので、この連載も今回で最終回です。最終回のテーマは「カメラの前で話す練習法」について。私が「練習法」を最終回のテーマに選んだのには理由があります。それは、間違った練習法をしている人が非常に多いからです。これまでメインメッセージを明確にし、パブリックセルフイメージでカメラの前に立つ準備をし、構成台本で、話す内容や順番も整理ができました。せっかく準備を万端にしても、間違った練習法では台無しになってしまいます。今回は、やりがちな間違いと、正しい練習法をしっかりお伝えしたいと思います。
間違った練習法とは、ズバリ「丸暗記」です。これまで「伝わるメッセージ」を作る過程で、繰り返し「キーワードで」とお伝えしてきました。なぜなら、文章にすると人は途端にそれを覚えようとするからです。断言します。読んでいる文章や覚えた文章では、相手には何も伝わりません。「自分の言葉で」話すことが、動画スピーチにおいて何よりも大切なんです。
そして、もう一つ覚えていただきたいことがあります。練習のゴールは「噛まずに、上手に話すこと」ではないということです。練習のゴールは「あなたの想いや人柄を受け取ってもらうこと」。ここを勘違いしている人が多いので、間違った練習法に走ってしまいがちなのです。ただ、気持ちは痛いほどわかります。私もそうでした。
私は、大学卒業の2ヶ月前にアナウンサー試験に合格し、その2ヶ月後には生放送に出ていました。初めの頃、ニュースを読むのが本当に下手で、原稿を読む練習を一生懸命していました。そんな私に当時の上司が言ってくれた言葉があります。
「その練習は今すぐ止めて。何かを伝えるというのは原稿を上手に読むことではない。間違っても噛んでも良いから伝わるように一生懸命話せばいい」と。あの言葉がなければ私はキャスターを辞めていたと思います。
もし、相手があなたの話を聞いてくれないとしたら、それはしゃべり方が下手だからではありません。話したい内容がまとまっていないか、相手が受け取りやすい設計になっていないか、のどちらかです。しゃべり方の上手い下手は、実はあなたの評価とは無関係なんです。
いざ、練習スタート!
カメラの前にいきなり立つと緊張してしまう人が多いので、最初は鏡の前で練習することをおすすめします。この鏡を見ながらの練習法には二つのメリットがあります。一つは「誰かに向けて話す」練習になること。もう一つのメリットは、話している自分を客観的に見られること。表情が固い、笑顔がない、身体に動きがない、など普段は気づけない自分の癖や改善点に気づくことができるからです。
自分の前に鏡をセットしたら、構成台本に沿って喋ってみましょう。この時、自分の口から全く言葉が出てこないことに衝撃を受けるかもしれません。でも、心が折れる必要はありません!だって、最初がぐずぐずなのは当然です。私だって毎回そうです。練習を重ねていくうちに、言葉が収斂され、自分の言葉になっていきます。よく「何回くらい練習すれば良いですか?」と聞かれますが、回数はその人によって違います。自分の感覚で自然に言葉が出てくるようになるまで練習は必要です。
また、「練習するたびに毎回言うことが違ってしまいます」と相談される方もいますが、それも当然です。同じ内容を噛まずに、間違えずに言うことがゴールではないはずです。ただ、練習していく中で、自分の中でフィットする言葉は必ずメモしてくださいね。
「伝わる」ために必要なエネルギーとは
練習にも慣れてきたら次はカメラの前で、対象者を意識しながら練習しましょう。「対象者を意識する」ために、カメラの向こう側にぬいぐるみや対象者の写真を置くとイメージしやすいと思います。なぜ、カメラの向こう側かというと、あなたの内にある「伝えたいエネルギー」を遠くに放って欲しいからです。目の前に対象者がいないので、どうしても縮こまりがちで、ボソボソと話し、語尾を下げ棒読みになってしまう人が多いです。それでは、カメラの向こう側にいる何百人、何千人、いえ何万人という人には届きません。姿勢を正し、声を張って、遠くにいる対象者に届けるようにエネルギーを発してください。
また、話す際、少しオーバーに身体を動かすことを意識してみてください。私の経験上、身体を動かすとエネルギーを放出しやすいし、受け手にも伝わりやすいことが分かっています。また、「なんかうまくいかないな〜」というときは歩きながら練習することも効果的です。ただ、疲れたな、と思ったらその日は無理して練習しないでください。練習から撮影は、頑張りすぎず、少しゆったりしたスケジュール感で臨んでください。
さて、いよいよカメラの前で撮影です。当然ですが、最初のテイクでうまくいくと思わないでくださいね。何テイクも撮ってみて、その都度、表情や内容、相手に伝わるかどうかをチェックして、改善しながら撮ってください。チェックするポイントは「話し方がスムーズか」や「噛んでいないか」ではありません!ここは目につきやすいので、気になると思いますが、話し方は、一切無視してくださいね。
1日でやりきろうと思わず、数日掛けて(かけて)撮影することをおすすめします。撮影は本当に疲れますし、やればやるだけ良いものが撮れるわけではないからです。ご自身のペースで無理のない範囲で撮影してください。
これで、この連載は終了となりますが、あなたの動画スピーチはこれからがスタートです。
私が担当した多くのクライアントさんに共通しているのは「初めて自分の想いを言葉にして話せた」ことに対する感動の声です。また、「練習を繰り返していくうちに、自分の言葉になっていった」「自分がこんなに話せるとは思ってもみなかった」「自分でも伝えることができると確信した」など嬉しい声をいただいています。
クライアントさんが特別ではありません。「伝えたいことがある」人は、誰でも出来ます。そして、動画を通して伝わった先にはさらに素晴らしい世界が待っています。ぜひ、勇気を出して、一歩を踏み出してください。この連載があなたの一助になれば嬉しいです。
これまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
重信香織
コラム:あなたの動画に「間」という「ギフト」を
動画やオンラインの場合、相手の顔が見えないことで、話すスピードやテンポが話し手のペースになってしまうことが多いです。しかし、相手は見えなくても、カメラの向こうには、必ず聞いてくれている人がいます。その人たちにメッセージを届けるために必要不可欠なものがあります。それは、「間」や「余白」です。
普段のおしゃべりでも、相手が機関銃のように話されて、疲れた経験はありませんか?これ、オンラインや動画でも一緒です。一方的にまくしたてられることが好きな人はいません。相手が頷く時間、考える時間、理解する時間をあげてください。それを意識するだけで、あなたの動画は見違えるほど良くなります。空白や間は、話し手にとっては一見怖いものです。言うことをド忘れしたり、ちょっと台詞が詰まったりすると、その間を埋めようと「え〜」とか「あ〜」とかノイズを出す人も多いです。ですが、そんな時こそ、堂々と間をとりましょう。その間は、相手の興味を引くフックになるかもしれません。「間」や「余白」はあなたの味方であり、ギフトです。どうか、そのことを忘れないでください。
重信さん、全4回に渡った連載をありがとうございました。
この連載を読み込めば、ご自身でも動画が完成すると思います。もし、重信さんにじっくり相談しながら作りたい!という方は、ぜひ、個別コンサルティングをご検討ください。なんと、よむどー読者限定特別価格でご提供いただけるとのこと!この機会にぜひ!!
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