オンラインバスツアーの大ヒットに学ぶ 動画活用の新たな可能性【発展編】

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香川県仲多度郡琴平町(カガワケン ナカタドグン コトヒラチョウ)に本社を置く琴平バスは、2020年4月の緊急事態宣言の影響で3月、4月の売上はゼロに。苦肉の策として思いついたのが「オンラインのバスツアー」。21年5月末までに延べ2000人以上が参加した大ヒット商品に!後編となる【発展編】では、オンラインバスツアーの制作の内状から動画活用の今後の可能性まで、立案者でありツアーの添乗も務めるコトバスグループ 執行役員の山本紗希さんにお話を聞きました。

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山本紗希(やまもと・さき)
大阪生まれ、大阪育ち。
甲南大学 経済学部卒業後、琴平バスに入社。入社後、コトバスツアーチームに所属し、プランナーとして企画・添乗に従事。結婚で関西に戻ったのを機にリモートワークに。現在は、コトバスオンライツアーの企画・運営の他、WEBの更新を中心に、バスの営業・商談会、インバウンド事業、新規事業の立ち上げや採用などに関わっている。

撮影も編集も全て内製!バスツアーの秘密に迫る

まずは、オンラインバスツアーの制作体制について教えてください。

 

山本さん(以下、敬称略):コトバスオンラインバスツアーはすべて社内で制作してます。外部の制作会社は入っていません。

 

コトバスオンラインバスツアー人気の理由である「手作り感」と「アットホーム感」。すべて社内で内製するからこそ本当の「手作り感」と「アットホーム感」が実現できていたのです。多忙な業務の中で、動画の撮影や編集はどうしているのでしょうか。

 

山本:動画に関しては、私も含め、皆、素人です。Zoomも知らなかったくらいですから、さすがに最初は苦労しました。鉄道が大好きなカメラ好きの先輩に撮影方法を教えてもらったり、YouTubeを見ながら動画の作り方を勉強したり、なんとか手探りで作ってきました。というのも、企画段階の時は、オンラインバスツアーに否定的な意見もあったので、時間と手間と費用は最低限に抑えなくてはいけなかったんです。

 

大きな成果に結びつけた今でも、機材はiPhoneとジンバル(撮影時の手ブレを補正する機材)のみ。

 

山本:Zoomを活用している関係で、動画の解像度はそこまで高くできないこともあり、iPhoneで十分なんです。

 

琴平バスでは、ツアーの企画者がプランナー兼添乗員となります。コトバスオンラインバスツアーの担当は3人で、各自が自分の企画したツアーを撮影から編集、リハーサル、本番まで全て担当しています。

 

大ヒットの秘訣!分厚い『シナリオ』を丸暗記

しかし、ライブ中継先や参加者のネット環境など、トラブルも隣り合わせなのでは?

 

山本:確かに、通信状況で中継が止まってしまうこともよくあります。それらのトラブルもあらかじめ想定した上でツアーのシナリオを作っているんです。シナリオは全て暗記し、何度もリハーサルをして本番を迎えます。シナリオのおかげで、トラブルが発生しても慌てることなく、スムーズに進めることができるんです。

 

90分間のツアーのシナリオは10数ページにも及びます。それを全て暗記し、社内チェックを含む3回のリハーサルを経て本番に臨む。これを徹底しているとのこと。

 

山本:シナリオがあれば個人に依存せず、社員が誰でもオンラインバスツアーを実施することができます。商品の質も担保され、お客様の満足度も下がりません。

 

緻密な計画と準備をしっかりしているからこそ、自然なアットホーム感が生まれ、ファンがつく。これこそがコトバスオンラインツアーの成功の秘訣なのです。

労力・手間・費用を抑える制作のポイント

⚫︎ 企画者が撮影から編集まで1人で担当

⚫︎ 機材はiPhoneとジンバルのみ

⚫︎ シナリオを綿密に準備することで、あらゆる事態にも対応可能に

「オンライン」が生んだ新しい価値と顧客

オンラインバスツアーの参加者の半数近くは首都圏在住ですが、コロナ禍前のコトバスツアーは、99%が香川県民でした。地元の人たちが育ててくれたツアーが、コトバスオンラインバスツアーとなって全国、そして世界の方々に喜ばれ、進化を遂げています。

 

山本:移動する距離や時間の制約がないことで、県外の方に香川県の魅力を知ってもらえる機会が増えたことはとても嬉しいです。多くのお客様に「今度はリアルの旅で訪れたい」と仰って頂いていますので、コロナ収束後に、より大きな効果を生むことに繋がるのではないかと期待しています。

 

首都圏など香川県外からの参加者が増えたこと以外にも、オンラインバスツアーならではの新たな価値の発見がありました。

 

山本:コトバスオンラインバスツアーを実施してみて、初めて気付いたことが沢山ありました。例えば、車酔いがツラい方、ご高齢の方、ペット連れの方など、これまで旅行に行けなかった方々が、オンラインによって、旅行が可能になったのです。実際にそういったお客様が楽しそうに参加されているのを見た時は、本当に嬉しくなりました。

 

まさに「オンラインバスツアーならでは」の価値です。

 

山本:とても印象的だったのは、介護をされている方が参加された時に、「こんな風に自分が知らない景色を見ることができると思っていなかった」と感動されていたこと。寝たきりの方など、介護が必要な方が参加されることもありますが、介護されている方もこういう機会を必要としているのだと初めて知りました。またある時は、ツアーが終わって30分の交流会の時に、「実は私車椅子なんです」と教えてくれた方がいて、私も他のお客様も驚いたことがあります。オンラインツアーってすごくバリアフリーなんだと、その時初めて気付きました。

 

多くの学びや気づきを経て、コトバスオンラインツアーを運営する上で、山本さんが大切にしていることを聞きました。

 

山本:最初のきっかけはリアルのツアーができないから苦肉の策で考えたことでしたが、今は、オンラインだからこそ楽しんでいただける「面白い」ツアーづくりを心がけています。そして、お客様に楽しんでもらうことはもちろんですが、地域も私たちも幸せになるWin-Win-Winなツアーづくりを目指しています。

 

オンラインならではの成功ポイント

⚫︎リアルのツアーでは顧客になり得なかった新規顧客を獲得できる

⚫︎オンラインツアーは極めてバリアフリー

 

アットホームな雰囲気が人気のコトバスオンラインバスツアー

「動画活用」の可能性

現在、コトバスオンラインバスツアーの数は40種類にも及びます。その中には外国人向けに四国をご案内する英語のツアーや、日本人向けの海外ツアーまで多種多様です。このように新たなツアーをハイペースで企画・実施する上でのポイントはなんでしょうか。

 

山本:お客様に楽しんで頂けるオンラインバスツアーを制作するのは決してラクな事ではありません。でも、動画の良いところは一回完成したら色んな形で繰り返し利用できるところです。それから、これはやっている中で気付いたのですが、動画活用は私たちのスキルアップにも役立っているんです。オンラインバスツアーの様子を録画しておけば、時間が合わなかったスタッフもチェックできますし、業務効率も生産性も高いと思います。

 

確かにリアルのツアーの場合は、ツアーに参加していない他のスタッフはツアー中の内容を共有することが難しいですが、オンラインツアーであればそれが可能です。

 

山本:もうひとつ大きかったのは、録画した動画を見ることで、添乗スタッフが自分では気づかなかった点を他のスタッフから指摘してもらえて改善に活かせる点です。リアルのツアーだと、現場を任された添乗スタッフはずっと一人でお客様の対応をすることになりますし、その様子を他のスタッフは見ることが出来ませんから。

 

現在は、社員旅行や介護施設、修学旅行、遠足などの団体旅行も受け付けているとか。さらに、同業者内での提携や、類似商品が生まれるなど、業界の活性化にも貢献しています。さらに、他県の自治体からもツアーを作って欲しいとオファーがあるなど、コトバスオンラインツアーの可能性は留まることを知りません。

 

オンラインバスツアーの収益性や、今後の展望について教えてください。

 

山本:現在コトバスオンラインツアーは3980円〜1万円の商品です。人材にも限りがある中で、オンラインバスツアーのみでは決して収益性が高いとは言えません。ただ、コトバスオンラインバスツアーの広報的なアプローチは、知名度向上に大きく貢献しています。また、ここからの人とのつながりが生まれたこと、新たな仕事の相談が舞い込むようになったこと、代理店開拓ができたことを考えると、数値化できない部分でも多くの成果を得ることができているのも事実です。また、今後の展望というところでは、将来的にオンラインバスツアーとバスツアーはお互いを高め合う存在になると思っています。例えば、リアルのツアーの予習ツアーにオンラインバスツアーがあれば、リアルのツアーをもっと楽しんでいただけると思います。また、コロナが落ち着いて、リアルな旅ができるようになったときに「オンラインバスツアーの場所に実際に行ってみよう」と思ってもらえるように今から準備したいと思っています。

 

それらを実現するために取り組んでいることがありましたらお聞かせください。

 

山本:オンラインバスツアー」の類似商品も多数出てきましたので、新規顧客の開拓は、私たちにとって新たな課題です。業界が活性化するのは本当に嬉しいことですが、私たちの商品のウリを一言で伝えられるようにしなくてはなりません。最近は、自分たち自身が異業種の様々な「オンラインサービス」を体験し、たくさんの学びや気づきを得るようにしています。業界外の方々の取り組みから学ぶことは本当に多いですから。

 

最後に、これから動画活用をはじめたいと思っている事業者さんにメッセージをお願いします。

 

山本:まずはiPhoneを持って外へ出て、何か撮影してみましょう!そこから私たちの世界は広がりました。

全てはそこからだと思います。

 

日本初オンラインバスツアーが大ヒット!「新しい観光」を生み出した成功の秘訣 【始動編】はこちらから

 


元エンタメ業界のプロである「よむどー」編集長 緒方による裏解説動画も公開中!

「体験」もオンラインで売れる! 前編|

よむどー裏レシピ解説動画:後編はこちらから:

 

 

取材社情報:

琴平バス株式会社

高松営業所:⾹川県仲高松市朝日町5-3-18 ボイスビル1階
電話:087-823-5678

 

コトバスオンラインツアー:

https://www.kotobus-tour.jp/online/

 

YouTubeチャンネル:

https://www.youtube.com/watch?v=_mlZi2Bwmxk&t=54s