YouTubeで売上6倍に!結果を出す動画活用【SUZUKI MOTORS 前編】

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山形県酒田市にあるバイク店SUZUKI MOTORS(スズキモータース 以下、SUZUKI MOTORS)は、数年前までは地域密着型の地元に愛されるごく普通のバイク屋さんでした。2018年、3代目である鈴木貴大氏が社長に就任し、数々の改革に着手して、山形県内のスズキディーラーの中で販売台数4年連続1位に。YouTubeチャンネル『SUZUKI MOTORS』は1.5万人の登録チャンネル数を誇り、累計再生回数は1000万回以上。その偉業の裏にある、結果にトコトンこだわった合理的な動画の活用方法とは。その成功の秘訣を鈴木社長に聞きました。

プロフィール写真

鈴木貴大(すずき・たかひろ)
1993年山形県酒田市生まれ。
株式会社CARRY 代表取締役社長。
大学を中退し、全日本ロードレースのメカニックとして経験を積む。21歳の時、地元である山形県酒田市に戻り高級バイクの海外輸出事業を始める。2016年株式会社CARRYを設立。2018年、「祖父が興した大好きなバイク屋を絶対に無くしたくない」という思いから事業承継し「SUZUKI MOTORS」「CARRY保険事務所」を株式会社CARRYに経営統合する。
「この世界を楽しみ尽くしたい人へ充実したLifeを!」をビジョンに掲げ、二輪業界の復活と革新を起こすべくチャレンジを続けている。

中古バイク販売の常識を覆した動画活用

「バイクの紹介動画を夜にアップすると、翌朝にはそのバイクの注文が5〜6件、多い時は20件ほど来ています」

 

そう話すのは動画の活用で売上を6倍にした株式会社CARRY鈴木貴大社長。ここで注目したいのは、動画によってもたらされるのが「問合せ」ではなく「注文」だという点です。その秘密は「動画では商品を全て見せること」だと鈴木社長は言います。

 

鈴木社長(以下、敬称略):中古バイクというのは、世界でたった一台しかない一点ものですから、バイクの状態を全て見せる必要があります。例えば、走行距離やエンジンの音、細かい傷のつき方まで、良いところだけでなく、どんな小さなマイナスな要素でも隠さず全て見せることで、お客様から信頼をいただけています。お客様には『動画で説明していた細かい傷は、実際にみたら全然分からなかったよ』とよく言われますね(笑)。

 

中古車は出来るだけ状態を良く見せないと売れない、というこれまでの常識を覆し、あえてマイナスな要素を正直に全て動画で見せる「誠実さ」が、逆に大きな成果を上げているのです。

 

鈴木:動画の良いところは、自社の製品について100%語りつくせることです。対面の接客の場合は時間に限りがあり、なかなかそうはいきませんよね。それに、違うお客様が来たらまた最初から同じ話をしなくてはいけません。でも、動画の場合は自社製品を余すことなくお伝えできますし、一度その動画をアップしたら24時間365日ずっと営業してくれるので、時間効率も生産性も非常に高いんです。

実際に店舗を訪れて実車を見る以上の価値がある紹介動画を目指しているという鈴木社長。移動や時間の制約がないことも顧客に喜ばれているポイントだと言います。

 

鈴木:バイクの状態を伝える動画だけではなく、注文から契約までの流れ、納車や配送について、さらにローンや保険など、お客様が知りたい情報を全てアップしています。だから、お客様からすると 問合わせる必要がなくて、すぐに注文が入るんだと思います。

 

必要な情報を全てネット上に掲載し、 顧客の購入までのプロセスが とにかく最短かつスムーズになるように心がけているとのこと。

 

鈴木:そうすると、お客様にとっても非常に時間効率が良くなりますし、店側の業務効率も改善されます。お互いにとっていいことづくめです。

 

動画制作におけるポイント

⚫︎ マイナスな要素でも隠さず全て見せる

⚫︎ お客様が知りたい情報を全て載せることでお客様も事業者も時間効率が良くなる

 

SUZUKI MOTORSの動画活用は、店頭に足を運び、自分の目で見て購入することが当たり前だった人々の消費行動の常識を覆し「中古バイクのオンライン販売」という新しい道を切り拓きました。

 

以前は県内のみだったSUZUKI MOTORSの商圏は、「中古バイクのオンライン販売」によって、今では北海道から沖縄県まで全国に広がっています。また、新車についても「SUZUKI MOTORSでバイクを買いたい」とわざわざ遠方から訪れる人が増えているそう。そして、自分の大切にしていたバイクだからこそ「SUZUKI MOTORSに買い取って欲しい」と全国各地から下取りの依頼が舞い込むなど、SUZUKI MOTORSのファンが生まれ続けています。

売約率99%を叩き出す 合理的な成功法則

これまで動画で紹介したバイクの売約率は99%という驚きの数字です。

 

鈴木:うちの場合、動画を配信後、1週間経ってもそのバイクが売れなければ『長期在庫』です。中古バイクは、「商品力×値段×発信力」の全てが揃ってはじめて購入につながります。売れないということは、どれかが間違っているというサインです。

 

動画は、それを炙り出すリトマス試験紙的な役割も果たしているのです。

 

鈴木:YouTubeに動画を配信したら、バイク情報サイト「ウェビック」にリンクを貼り、必ずFacebook、Twitter、Instagramでも案内し、YouTubeへ誘導するようにしています。情報に触れる機会を少しでも増やすことが目的です。Facebookを活用している人もいれば、Twitterしか見ない人もいますからね。

 

視聴者に動画を見てもらうためには、どのようなことを意識しているのでしょうか。

 

鈴木:タイトルとサムネイルは研究していますね。この二つで再生回数が決まると言っても過言ではありません。タイトルやサムネイルに関しては、登録チャンネル数が150万人といったYouTuberの方を参考にしています。彼らの動画はプロの手が入っている場合も多いですし「視聴者が見たくなるような」画像やキャッチフレーズを作ることが本当に上手ですから、とても勉強になります。

 

また、業界の目線ではなく視聴者の目線に置き換えることが、サムネイルやタイトルを作る上で非常に重要だといいます。

 

鈴木:業界内の入札価格の基準だと、カスタム車両というのはあまりプラスにならないケースも少なくないのですが、好きなお客様の目線で見たら凄く魅力的に映ることが多いんです。たとえば、カスタムで380万円かかっているバイクがあるとしたら、サムネイルで『フルカスタム380万円相当!』みたいにドーンと打ち出し、タイトルは『総額380万円相当!フルカスタムの○○はこちら』とすると、反響も大きいです。

サムネイルを工夫し、反響の良かった動画例

また、SUZUKI MOTORSでは公式LINEアカウントも活用し、効率的なコミュニケーションに役立てています。

 

鈴木:LINEはお客様との1対1のコミュニケーションで活用しています。お客様に動画を送っていただくことで査定もリモートで出来ますし、納車までの過程も手厚いフォローが可能になったりしています。お客様からすると、電話やメールだと大変ですがLINEだったら簡単でラクですよね。公式LINEからの問い合わせには、スタッフがすぐに対応できる状態にしてあるので、お客様の満足度も非常に高いです。

 

結果を出すために必要なこと

⚫︎ SNSをフル活用し、動画が目に触れる機会をできるだけ増やす

⚫︎ 動画再生回数は、タイトルとサムネイルで大きな差が出るので要研究

過去の投稿は最高の教科書

そもそも鈴木社長が動画活用を始めたきっかけはなんだったのでしょうか。

 

鈴木:2016年に酒田市の商工会議所で、ビジネス動画活用のプロでいらっしゃる菅谷信一さんが『YouTube動画活用で売上を伸ばす』といったテーマでセミナーを開催されたんです。テーマに興味が湧いてたまたま参加したら「これならできそう」と思い立って、その日から始めました(笑)。

 

開始当初からうまくいっていたんでしょうか。

 

鈴木:いやいや(笑)最初に投稿した動画はお店を紹介するたった34秒の動画なんですが、実は24回撮り直しました。それでもセリフを噛んだり、「えー」とか「あー」とか頻発しています。黒歴史なので消したい気持ちもあるのですが、過去の自分は最高の教材なんです。

 

鈴木社長は今でも過去の動画を見返し、立ち振る舞いや話し方、自分の癖などを客観的に見て改善につなげていると言います。鈴木社長が一貫して伝えたいことは「誠実さ」です。

 

鈴木:たとえ動画でもお客様に見ていただくので接客と同じです。動画の場合は演じるとは言わないまでも、いつも以上に丁寧に、信頼につながるような話し方や立ち振る舞いを心がけていますね。

 

視聴者は情報の量と内容、そして鈴木社長の人柄を見て「この人は信用できる」と感じ、購入につながっています。また、バイク愛に溢れている鈴木社長の人柄も、視聴者が勝手に親近感を持ちファンになる理由のひとつなのかもしれません。

 

動画で「誠実さ」を表現するには

⚫︎ 過去の自分から学び、話し方や癖を改善し続ける

動画活用の広告収入は考えない

自社の製品やサービスを愛してやまない中小企業にとって、その魅力を最大限アピールできる場としてYouTubeの存在は強い味方になる一方で、気をつけるべきこともあると言います。

 

鈴木:ビジネスにおける動画活用は、広告収入が目的ではありません

 

そうハッキリ断言する鈴木社長。

 

鈴木:動画の良さは、自社の製品の強みだけでなく、製造過程のストーリーや創業者の想いなど、製品やサービスにまつわる情報を伝え切れるという点にあると思います。それを伝えることで売上や利益を伸ばし、企業の成長につなげることが動画活用の目的です。決してYouTubeの広告収入のためにやるワケではありません。そこを間違えないことはとても大切だと思います。

 

広告収入を目的にすると、本質がぶれてしまい、動画も逆効果だと鈴木社長は警鐘を鳴らします。

 

鈴木:動画の再生回数やチャンネル登録者数だけを追い求めるようになると、インパクト重視で どんどん過激になったり奇をてらった方向に行きがちです。それはビジネスの信頼には全く繋がりません。広告収入はあくまで副産物で、目的じゃない。

 

自社の製品の良さをどう発信したらより視聴者に伝わるかという点に全力を置くことで、動画活用の本質が見えてくると鈴木社長は言います。

 

鈴木:僕も3年前と今とでは、やり方は全く違います。やっていく中で、軌道修正を繰り返していますし、これからもどんどん改善していくつもりです。だからこそ、続けることがとても大切です。「継続は力なり」じゃないですけど、継続することで、見えてくることが必ずあります。

 

常に合理性と結果を求めている鈴木社長だからこその動画活用ノウハウの数々は、大変勉強になりました!

 

ビジネス動画における心得

⚫︎ YouTubeの広告収入を目的にしない

⚫︎ ビジネス動画の目的は会社が成長すること

 

後半では、動画活用を継続するために大切なことや、「動画×リアル」の相乗効果についてご紹介します。

 

若き経営者が挑む二輪業界復活への道!ファンに愛されて成長する動画活用術

【SUZUKI MOTORS 後編】はこちらから


 

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取材社情報:

株式会社CARRY

本社:山形県酒田市東両羽町7-23

 

企業HP:

https://carry-corp.com/

 

オンラインショップ:

https://ktm.carry-corp.com

https://husqvarna.carry-corp.com

 

YouTubeチャンネル:SUZUKI MOTORS